SAO編
第一章 冒険者生活
11.第三層フロアボス攻略会議
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子らにこの話は聞かせたくはないと思った。
「……調べて貰いたい事は二つ。一つは、《ビーター》と呼ばれるプレイヤーについて知りたい。特に、人柄などを」
「――ッ。はて、なんでマタ?」
アルゴが一瞬だけ息を呑んだのが解った。何故かは解らないし、問い質す気もないが。
ビーターと呼ばれる者が、本当に噂で聞くような非道なプレイヤーなのか、ただの誇張された噂でしかないのか。それを知ってどうするのか、どうしたいのかは自分でも解らない。だが…………
「……その理由は調べて貰いたい事の二つ目にある。昨日、この酒場でとある話を耳にした。《バリと呼ばれる者が、ボス戦の騒動に乗じてビーターに何かをする》という話だ」
「……」
「この話が真実かどうかを、調べて欲しい」
俺の話を聞いているのかいないのか、アルゴは無言で琥珀色の液体の入ったグラスを口につけた。ゆっくり味を噛み締めるかのようにして飲み込んだ数秒後、ようやくこちらを向いて口を開いた。
「ン〜、なるほどネ。人を陥れるような話を聞いてそれを何とかして防ぎたいと思っタ。でもビーターなる人物が噂通りの俗物なら関わらずに放っておこうと…………こういうコト?」
アルゴの言葉は、尖った刃のように俺の胸に突き刺さった。
我ながら何とも嫌な人間だと思う。これがルネリーだったら、きっと誰と言わずに助けようとするのかもしれない。
「にゅははハ〜。ちょっとしたジョーダンだから、そんなに傷付いた顔しないでくれヨー」
アルゴが俺の顔を覗き込むようにして笑う。かと思ったら今度はいきなり真面目な顔をしてくる。
「だが、いいのカ? もし、仮に噂はデタラメでビーターが実は良い奴だったとシヨウ。そして、その答えを聞いたキミは彼を助けようとするのだろうナ。……で、そのあとハ? 聞いた限りじゃ、まあ穏やかな話でもなさそうだシ、それに出る杭は打たれルっていうしナ。この件は決着の着け方が問題ダ。しかも今後、きっとそういうバカはたくさん出てくるゾ? キミはそのとき、どうする気なんダ?」
無意識に考えないようにしてきたことをアルゴに指摘される。
自分でも解っている。いや、解っていないのかもしれないな。自分がこれから行おうとしていること、それは他者から見れば偽善、そして自己満足なのだろう。誰とも知れない者を助けようとしている、しかもその者には良くない噂がある。あの三人のときとは状況が全然違う。あの三人のときは、助けたあとの責任を《傍で見守る》という形でとろうとした。別の言い方をするなら、《あの三人のことだけを考えれば》それで良かった。だが今回はそう簡単じゃない。ビーターに味方すれば、現在ビーターに悪意を抱いている者たちはこちらにもその悪意を向ける可能性がある。俺だけならばまだいいが、問題は
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