SAO編
第一章 冒険者生活
11.第三層フロアボス攻略会議
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HPがゼロになれば死んでしまうというこの世界。俺も幾度か、HPを危険域レッドゾーンまで削られ、窮地に陥ったことがある。戦いに多少なりとも自信を持っていた俺ですらこれだ。それに、今は守りたいと思う者たちも居る。プレイヤー同士のいざこざなどに関わっている余裕など…………
「でもあの様子じゃあ、明日もきっとネリー目的で近づいてくるかもッスねー、バリモッさん♪」
「……うん。確かに」
「や、やめてよー」
「…………!」
――忘れていた。
現状、俺の知っている中で最も件くだんの人物である可能性が高いバリモッドは、ルネリーに執心らしい。他人の色恋にとやかく言うつもりは無いが、もし彼が、人の死を望み殺人を、それに類する行為を実行してしまうような人物であるならば、このままこの三人に近付くというのも放置は出来ない。
……どうやら、否が応にも関わり合いになりそうだ。
「――デ? 珍しく呼び出したりなんかシテ、どうしたんダ? しかもあの三人娘は抜きで、なんテ……」
俺の目の前に座っている年齢不詳の女性が訊いてくる。容姿は完全に俺よりも年下だが、その落ち着いた態度や不敵な物言い、何より全てを見透かしたような上から目線の微笑みが、見た目での年齢判別を困難にさせている。
まるで責めるかのような口調だが、その瞳にはからかいの色が窺えた。
「……いきなり済まない。お前に調べて欲しい事があって呼んだんだ…………アルゴ」
「にはハッ。まあ、そりゃそうだろうナ」
目の前の人物、情報屋を自称する女性《鼠のアルゴ》。俺とアルゴは、昨日の夜あの話を聞いた酒場に居た。ペクタには四つほど酒場があるが、この酒場は人気が少なく、今も俺とアルゴしか居ない。カウンター席に椅子ひとつ間を開けて、俺とアルゴは並んで座っていた。
「ヒトツ、言っておくけどネ……個人的な調査とくれば、いつもとは勝手が違うヨ? ちゃんとお代は貰うシ、色々と細かい決まりもあるんダ。そこんトコ、解ってるよナ?」
「……ああ、勿論だ」
右手の人差し指と親指で作った輪っかをぶらぶらと揺らしながら、にやけた顔を向けてくるアルゴに首肯する。今回は、いつものような《協力者》としての情報提供ではない。《顧客》としてアルゴから情報を買うのだ。情報に限らず、売り買いに規約は付き物。普段の付き合いとはまた別物であるということは、世事に疎い俺とて解っている。
「くっくっク、まあそんなカタくなんなヨ。まずは依頼を聞こうじゃないカ。キミからの頼みは初めてだケド…………あの三人には聞かせたくない話なんだろうウ?」
「……ああ」
この場所にルネリー、レイア、チマの三人は居ない。昨日と同様、今は風呂施設のある民家に行っている。勝手な判断だが、あの
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