SAO編
第一章 冒険者生活
10.不穏な会話
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アインクラッド第三層が開放されてから九日目。
三層主街区から次なる村へと南に歩を進める途中、木漏れ陽が照らす巨大な樹林の合間で俺たちは戦っていた。
「――くたばれァ!!」
俺たちの目の前には、如何にも山賊といった風体の中年男が三人、少し刃こぼれした短剣を逆手に構えている。ダボダボに膨らんだ茶色のズボンに黄土色の半袖シャツ、頭に巻いた赤いバンダナ、どこもかしこもボロボロだ。筋肉質な痩躯に、こちらを睨んでくるギラついた眼。荒い呼吸により肩が上下し、HPの残量が減るにつれ少しづつ変わる表情。
――どこからどう見ても人間のようだ。
だが、この三人はプレイヤーじゃない。
街にいるNPCに似て非なるもの、《人間型》というらしい。ゴブリンやコボルトのような亜人型デミヒューマンとも違うこいつらは、見た目は完全にプレイヤーと見紛う。先ほどの罵声のように喋ることも出来るし、赤いカーソルが無ければ本当にプレイヤーと戦っているみたいだ。
「うらっ!」
チマに向けて敵――《ニンブルバンデット・スカウト》の一人が、掛け声とともに青色の光を帯びた短剣を右フックのようなカーブを描きながら振り切る。しかし一度喰らったことのある技なので、チマは初動を見た瞬間に一歩下がって回避していた。
「あめぇよ!」
バンデットが左に振り切った短剣が今度は逆方向に動き、チマを追撃する。短剣の水平二連撃ソードスキルだ。
だがこれも彼女は予測済み。チマ女は一撃目の回避動作と同時に、自らのソードスキルの動作も行っていたのだ。
「甘いのは……そっちッスよおおお!!」
頭上から振り下ろした強力な一撃は、相手の放った短剣ソードスキルを弾き飛ばし、敵の体を深く切り裂いてからようやく止まった。
「ふげぁっ!?」
直撃を受け、まぬけな声と仰け反りポーズを見せたバンデットは、まるで特撮モノのやられた怪人のように爆発して消えていった。
「っし!」
小さく拳を握りしめてから、チマは愛剣を両手で……肩に担いだ。
チマが今使っている武器は、予てから彼女が使ってみたいと言っていた《両手剣》だ。なかなか踏ん切りがつかず、今まで片手剣をずっと使ってきたが、先ほどのニンブルバンデット・スカウトとは違う人型モンスターを倒して手に入れた両手剣《プレート・クレイモア》を持ったとき、チマは運命を感じたとかで、今後はそれを使う事になった。
「うおお!!」
残る二人のバンデットのうち、一人が俺に向って駆けてくる。
刃渡りの小さい短剣を、大きく振りかぶりながら向かってくるその姿は素人そのもの。
「疾……!!」
「ぬおっ!?」
相手が此方の間合いに入った瞬間、素早く出足を石突で払い
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