SAO編
第一章 冒険者生活
10.不穏な会話
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「あの、あたしたち、ボス戦に参加しようと思ってるんですけど……もう打ち合わせというか、会議みたいなのって終わっちゃいましたか?」
「えっ? ……あ、ああ。フロアボスのやつね。それはまだだよ。でも聞いた話によれば、今日の夕方には迷宮区の最上階に到達するらしいし、早ければ明日、明後日には開かれると思う」
「よかったぁ。今回は間に合ったっぽいねっ」
彼の話を聞いたルネリーが後ろの俺たちを振り返って笑顔を向けてくる。そしてすぐに前を向き直し、男性に向けてお礼を言った。
「あの、ありがとうございましたっ」
「あ、うん。どういたしまして……」
上半身を九十度曲げてお辞宜をするルネリー。それを見てビクッとする男性。
――あまり人と接するのに慣れていないのだろうか……?
男性の挙動不審さから、そんなことを思う。自分も人と接するのは苦手なので、勝手だが少し親近感を感じた。
「……そういえば、あなたもボス戦に参加するんですか?」
「ああ、うん。これでも二層のボス戦に参加した経験があるし」
「そうなんですか! じゃあ、ボス戦で会ったときはよろしくお願いしますっ」
その言葉を皮切りに、俺たちは男性とは別れた。
しかし、終始ルネリーと話していた男性は優しそうな顔をしていたのに、去り際に俺と目が合ったときは睨まれたような気がしたのだが……何故だろうか。
「明日か明後日ッスかぁ……んじゃ、今日はこのあとどうするッスか?」
「……もうお昼過ぎだし、今から迷宮区は時間的にきついよね」
「じゃあじゃあっ、お昼食べてからこの村の周りで狩りろうよ!」
「狩りろうって……」
俺が首を傾げている間にも、三人は慣れた様子で今後の予定を決めていく。
そうして俺たちは、近くの宿屋でパンとスープの軽い食事をとったあと、夕方まで村の周囲でモンスターを狩った。
午後八時過ぎ。ペクタに帰った俺たちは、村の入り口を抜けた所で別行動をとった。ルネリー、レイア、チマの三人は、風呂のある民家に向ったのだ。
このゲーム内に風呂のある施設は少ない。別段汚れることもないので入る必要はないのだが、女性にとってはそれでも入らないことに忌避感はあるのだろう。一応、どんなに小さな村にも一軒は風呂を備えた家がある。しかし、今の俺たちは決まった拠点を持たない。色んなところを移動していて毎回入れるわけではないので、三人にはつらい思いをさせているのかもしれない。
「…………ふぅ」
手持無沙汰になった俺は通りの酒場に入り、端の方の丸テーブルについて果実水を頼んだ。出来る事なら緑茶を頼みたいのだが、残念ながらこのSAOには存在するかどうかもあやしいらしい。紅茶ならば喫茶店などで飲めるが、ここのような酒場では
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