暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
10.不穏な会話
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
い霧の森《フォレスト・オブ・ウェイバリング・ミスト》》という場所を歩いていた。通常、フィールドを進めばシステムウインドウ中のマップタブに歩いた所がマッピングされる。灰色に染まったマップウインドウを色彩付けるには、踏破するかマップデータを貰うかだが、この森フィールドでは少し異なる。実際に歩いた場所にしても、マップ上に霧がかかったようによく見えなくなる。自分の現在位置、今までの道順が明確に解らなくなるのだ。
 しかし、ここでレイアの持つスキルが役に立つ。

《測量スキル》。

 ただ街や道、川森山の大まかな位置だけで事足りるのならば、別にスキルを使わなくてもマッピングは出来る。それだけで終わらないのが測量スキルというものだ。
 このスキルを使えば何処にいたとしても迷わない、と言っても過言ではない。この森の特殊効果も彼女のスキルの前には意味を成さない。彼女のマップだけは霧は晴れ、更には採取出来る植物や木々、鉱石の採掘場なども記録され、熟練度を上げれば近くを歩くだけで隠れたダンジョンさえ見つけてマッピングすることも出来るという。彼女のお陰で、俺たちは初めての場所でも帰り道の心配をすることはなかった。
 普通なら抜けるのに時間がかかるというその森を、俺たちは普通に進み、普通に抜けた。







 俺たちが三層迷宮区最寄りの村《ペクタ》に着いたのは、アルゴの知らせから二日後の昼だった。

「着いた〜!」
「着ーいたッス〜!」
「……だね」

 このペクタという村も、この三層にある町村の例に洩れず周囲を背の高い垣根で覆われている。まるで豪邸にある庭園の入り口みたいだと、村に入るときにルネリーたちは言っていた。無数の枝葉に蔦(つた)が幾重にも絡まりあう垣根がアーチ状になっている入口を抜けると、そこにも緑の多く見える町並みがあった。道の至る所に落ち葉や根があり、視界に見える家々も壁や屋根から葉付きの枝が飛び出している。入口から伸びる通りを進むと、これまた例に洩れず村の中心に広場があった。大抵ボス戦の打ち合わせは、迷宮区最寄の村のこの広場のような大人数が集まれる場所でやるらしい。まずは、その日取りを確認せねばならないだろう。
 とりあえず、俺たちは近くを歩いていたひとりのプレイヤーに訪ねてみることにした。

「すみませーん。ちょっといいですか?」
「え?」

 逆立てた水色の髪に少したれ気味の目、中肉中背の体に布装備の上下と肩あて付きの胸鎧、ローラースケートのサポーターのような鋼色の腕甲と脚甲を纏い、大ぶりな剣を背負っている二十代前半くらいの男性プレイヤー。俺たちの中では一番人当たりが良いルネリーに話しかけられた彼は、少し顔を赤くしながら目を泳がせ、どもりながらも聞き返してきた。

「え、と…………お、俺に、何か?」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ