第六十話「2対2」
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ネロは咄嗟に防御の構えを取ったが、遅かった。
ザシュッ
「ぐっ!?」
「くそ!」
レックスは右脇腹を鋭利な刃物で切りつけられ、ネロは自作のチェーンソーを切られ、壊された。
「探すの苦労したぜ、クソガキ」
「お疲れ様〜」
タウロスの隣には、両腕が黒く巨大な爪に変異している黒髪の青年が立っていた。
「くそっ……ネロ、戦えるか?」
「代わりの武器くらいはある。お前は脇腹、大丈夫かよ?」
ネロは腰のコンバットナイフを取り出しながら、レックスの脇腹を見た。
レックスの脇腹には、3本の爪痕が深く刻まれていた。そこから赤い血がドクドクと流れていた。
「あぁ……痛えけど、戦える。大丈夫だ」
レックスは歯を食いしばって痛みに耐えている。誰が見てもその顔色は悪い。
足元には既に血溜まりができ始めている。
「あ〜あ、オレとしたことが、ターゲットを殺し損ねるとはなぁ」
2人を切りつけた青年は、軽く舌打ちをして、自身の爪を見た。
「オレは“キャンサー”。そのクソガキのパートナーにさせられた上に、お前らを殺し損ねてムカついて
いるんでなぁ。オレの気が済むまで刻んでもいいよなぁ?」
キャンサーと名乗った青年は、下卑た笑みを浮かべてカチャカチャと両腕の爪を鳴らす。
「へぇ………楽しみだよ。その腕で刻めるかどうかだけどな」
「あぁ? なんだと死に損ないが……」
ガシャッ
何かが落ちた。鉄のようなものが落ちた音が聞こえた。
「………あぁ?」
キャンサーは左手に違和感を感じて、自分の左手を見た。
左手の人差し指と中指、薬指にあたる爪が斬れて無くなっていた。
「はぁ!? どうなってんだ、こりゃ!?」
「なぁ、ネロ。俺の居合の動きも、まだまだ鈍ってはいないみたいだな」
「見事なもんだよな、お前の居合」
キャンサーは今気づいた。
背後から襲撃した時、レックスは日本刀を鞘に納めて左手に持っていた。
今は鞘を手放し、日本刀を右手に持っている。
しかし、いつ刀を抜いて斬ったのかが分からない。
「へぇ〜面白っ。オレも退屈しないで済みそうだよ」
キャンサーの左手がグチャグチャと音をたてて変異していく。
次第にキャンサーの左手は人間の腕に戻り、変異が止まった。
残った右手の爪を構え、2人の兵士を見据えた。
「………他の仲間も、コイツらと同じ連中の襲撃を受けてんのかな……」
「……………さぁな」
「楽しみだなぁ、キャンサー。この2人は相当手強いよ?」
「だろうな。でも殺せねぇとオレがスコーピオに殺されちまうよ」
2人の兵士と、2人の適合者の戦い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ