暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 赤いプレイヤーの日常
五話〜始動〜
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「デ、そのレッドを探してるのはわかったケド、もうちょっと特徴とかないのカ?さすがのオイラでも最近暴れてるレッドってだけじゃ、どうしようもないゾ……」

 そう言いながらも心当たりを探してくれているのか、思案するようにアルゴが腕を組む。やはり、なんやかんやでいいやつだ。
 が、そう思うと、同時にもう一人の情報屋のほうの悪行が目についてしまう。

「わかってる。話の途中だったんだよ」

「そ、そんな怒らないでくださいよ、キリトさん。ほら、話の途中ってことは他にわかってることあるんでしょ?容姿とか、武装とか」

 身近な人間にはまるで効かない俺の睨みだったが、トウラには効果があったようで、きちんと反応してくれたことを少しばかりうれしく思いつつ、俺は短く息を吐いた。

「ああ、それでなんだが……」

 小声を出しながら、念のためとあたりを見回す。一つ間が空いたことで二人の情報屋にもスイッチが入ったのか、神妙な顔つきになったところで、俺はいよいよ、言った。

「二人とも、《死武王》と『リン』っていう名前に心当たりはないか?」



 ――トウラもアルゴも過去の記憶を参照しているのか固まって動かない。
 数十秒の沈黙の後、トウラよりも早く解析を終えたらしいアルゴが、不服そうな顔をしながら何かを押し出すよう、切れ切れに言った。

「悪いけド……さっぱりわかんないナ……その両方とも」

「そうか……」

 そりゃそうだ。今の今まで血盟騎士団のだれかが必死になって隠していたのだから、比較的有名な情報屋であるアルゴが知っているわけがない。知っていたならとうの昔に世間に露見しているだろう。それに、アルゴはこういった情報に疎い方がいい。
 そんな最後の一言を第六感で聞き取ったわけではないだろうが、アルゴはいつの間にかいつものふてぶてしい鼠顔に戻り、ふふんと鼻を鳴らしてなぜか誇らしげに声を張り上げた。

「キー坊、専門外とはいえオイラの知らなイ情報を持ってくるなんテ、なかなかやるようになったナ!ヒジョーに頼もしいことだけド、オイラが知らないんじゃ他に知ってるヤツなんていないゾ?なア、トウ――」

「知ってますよ、ボク」

「……エ」

 絶句したのは俺たちではなくアルゴ。情報屋としてのプライドが高いのは知っているが、相手の領分で負けたのがそんなに意外だったのだろうか。
 いや、そんなことより

「ほ、ほんと!?知ってるの!?リンのこと!?」

 唐突に、興奮気味のアスナが俺と情報屋二人の前に躍り出たかと思うと、閃光の二つ名に恥じぬ猛スピードでトウラに詰め寄った。
 いかにアスナのファンと言えどこれはさすがにNGなのか、引け越しに引きつった笑顔を浮かべながら、トウラはまあまあと、目の前に迫ったアスナの顔を
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