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ソードアートオンライン 赤いプレイヤーの日常
五話〜始動〜
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、短く挨拶を交わした。さらに次いでよろしくを言ったアスナは少しばかり引いていたが、予想していたのかトウラはさして気にしていないようだった。



「――それではですけど」

 挨拶が一通り終わると、突然ティーナが声を上げた。

「早速、トウラさんに依頼の方のご説明を――」

「あー、そうでした!それがわからないとボクもその依頼を受けるかどうかが」

「したいところですけど、すいません、もうお一人お呼びしているので、その方がいらっしゃってからお話ししますね」

 はて、もう一人とな、と言いたげな顔をするトウラと一瞬同じことを思ったが、すぐにアルゴのことを思い出した。火急の要件だと予想したのだが、まだ来ないのだろうか。
 ――と、
 なんともタイミングのいいことに、俺たちの背後、転移門に青い光球が出現した。
 続いて光の中から見覚えのあるおヒゲと短い金褐色の巻き毛が飛び出る。言わずもがな、この人物は――

「おお、遅かったな、アルゴ」

「ン?ああ、キー坊……に血盟騎士団の女参謀サン?……それにアーちゃんっテ、何かあったのカ?」

 夏の鋭い太陽光線を全身に受けながら、珍しい組み合わせだとアルゴが目を細める。

「ハハ、ボクは眼中にないって感じですかねぇ。アルゴは」

「……トウラ、何でここにいるんダ。ますますもってよくわからないゾ?」

 その反応にトウラがますますもって残念そうに笑い、上げかけていた手を引っ込める。
 どうやら二人とも元から知り合いだったようだ。トウラのことをどう説明しようかと思っていたが、これは都合がいい。俺はまだ状況が呑み込めていないのかだんまりを続けるティーナに代わり、数十分前を思い返しながらゆっくりと口を開いた。

「アルゴ、突然で悪いけど、聞きたいことがあるんだ」



「――ほう、それでそのレッドプレイヤーを探していると……しっかし、この人数でよくやろうと思えましたねえ、キリトさん。……そりゃあ、攻略組でもトップクラスの皆さんが相手するんだから、未知のスキルだとしても問題ないでしょうけど」

 まだその未知のスキルどころかその所有者だった「リン」の名前すら出していないのだが、お構いなしにトウラがそう呟いた。少々しゃくだったがこの話の前に休憩をはさむくらいいいじゃないかと無理やり納得する。

「……まあな、でもこのまま放っておくこともできないし、俺たちで何とかするしかないんだよ。な、アスナ」

「ふぇっ?あ、うん。そうだね」

 完全に油断しきっていたアスナの素っ頓狂な声が響く。
 おいおい、お前が言ったんだろうと、雰囲気ぶち壊してもいいから突っ込みたい衝動に駆られるが、最近よく働いてくれる自制心のおかげで、俺はなんとか踏みとどまった。


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