暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 赤いプレイヤーの日常
五話〜始動〜
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つく。いや、凍りつくというだけならついさっきまでもそうだったのだが、この場合の凍りつくというのはなんというか、思考停止みたいな意味合いの凍りつくで……

「本物……アスナさん本物ですよね?いやーまさかこんな仕事してて会えるなんてなあ。感激ですよー。あ、そうだ!ボク、ずっとファンだったんですよ。サインとかお願いしても?」

 拍子抜けして若干の現実逃避を楽しんでいる俺の右前方六十度で、こげ茶フード改めこげ茶天パが、俺の想像と百八十度違うテンションで、俺とほぼ同じくらいの年齢だと思われる、少年の気配が残った声を発している。
 この精神状態では何か感覚がおかしくなりそうだ。
 俺は、そんな雑念をはらおうと頭を一振りしてから、いまだやかましく騒ぎ立てるこげ茶天パに一つ咳払いをして見せた。
 一瞬の静寂の後、こげ茶天パはどうやら俺の言いたいところを察してくれたようで、ばつの悪そうに笑った。

「あー、いやいや、すいません、つい興奮してしまって。まさか仕事でアスナさんにお会いできるなんて思いませんでしたから――あ、べ、別に怪しい者じゃないですよ!?ボク、トウラと言いまして、たぶんみなさん……というかそちらのティーナさんに呼ばれました情報屋でして――」

「カゲロウの通り名で呼ばれている方です。……はあ、やっぱりアスナさんのファンという噂は本当でしたね」

 いつの間にか迫力の抜けてしまったティーナが、安堵なのか呆れなのか、そんなため息をつきつつ、俺とトウラの間に進み出た。

 「アスナさんファンの噂はともかく、カゲロウっていうのは初耳なんですが……」と応じるトウラの、テンションに似合わないハスキーボイスを聞き流しながら、俺は、レストランでのティーナの言葉、「カノジョさんに何かあったらいやでしょう?」を思い出していた。
 今思えば、アレの真意は俺が危惧していたこととは全く別のモノだったのかもしれない。少し前に、 最近ストーカー紛いのファンがいて困っているというアスナの愚痴を聞いたことがあったのだ。
 トウラはそこまでアスナに心酔しているわけではなさそうだが、ティーナも色々と気を使っていたのだろう。アスナの護衛の件もそういう理由だったのだ。

「……そういうことで、キリトさんアスナさん。改めてご紹介する必要もないと思いますが、お聞きの通り、この方がトウラさん、私がお呼びした情報屋の方です」

「えー、どうも、どういった依頼なのかはまだ知りませんけど、お引き受けしたなら対象を見つけるまではお供しますので、どうぞよろしくです!アスナさんとキリトさん、それから……えーっと、あっちの方は?」

 結局通り名の問題はどうなったのだろうかと頭の片隅で思いながら、俺は、わきでどこぞのモンスターような唸り声で自分の名を告げるクラディールに続いて
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