曹操聖女伝第7章
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かり怖気づいたらしい」
だが、曹操はそんな上機嫌を窘める。
「いや、袁紹はそこまで諦めの良い男ではない。警戒を怠るな!」
その頃、袁紹軍本陣では……。
「あれも駄目、これも駄目、となると……只攻めるより、あの楼閣から曹操を追い出す方法を考えた方が早いかもしれん」
懲りない袁紹、次はどのような手で曹操軍を苦しめる心算なのか。
それに引き替え、
「ホワットだよあいつら!全然使えないではないか!」
袁洪の嫌な予感を完全に無視した事を棚に上げて曹操軍の発石車に敗れ去った袁紹軍の移動櫓への悪口を言い続ける往生際の悪い劉備であった。
これにはさすがの袁洪も苦笑いである。
曹操軍と袁紹軍による官渡城攻防戦が続く中、1人の男性が曹操を訪ねた。
「許攸(字は子遠)と名乗る男が拝謁賜りたいと参っております」
趙公明が首を傾げる。
「はて、袁紹軍の軍師殿、何にて曹操に會ゐに参ったのでござる?」
「会ってみよう。ここへ通せ」
曹操と謁見した許攸は、袁紹を裏切った経緯を自慢げに話し始めた。
「あの馬鹿殿は折角用意してやった必勝の策を馬鹿にしおった!」
「自慢の策?許攸殿はいかがやとは曹操軍に勝つ所存にてあったでござるか?」
「されば、曹操軍をこのまま官渡に釘付けにしておき、その隙に許都を強襲して天子をお迎えすれば、天下は自ずと袁紹の手中に」
「成程……確かに左様な事をさせたら曹操殿は困り果ててしまう」
「だと言うのに……あの馬鹿殿め!家臣の忠告に全く耳を傾けず、自ら滅亡の道を突き進んでおる。最早付き合いきれぬわい!」
「じゃからとは、袁紹軍の内情を察すお主、此処に参ったのは不味ゐでござろう」
許攸と趙公明の遣り取りを只黙って聞いていた曹操は、何か形容しがたい違和感に襲われていた。が、口には出さずに許攸をじっと見るに止めた。
「それより……曹操殿にお伝えしたい事がございます」
「はい?」
「袁紹は現在、1万台あまりの輜重車を後方の白馬に集結させとるが、迂闊にも敵襲に対する備えを怠っておる!」
それを聴いた曹操は違和感の正体を知り、何も出来ずに硬直した。
「―――3日と経たずに……曹操殿、聴いてます?」
曹操ははっとした表情で答える。
「え?あぁ、白馬にある袁紹軍の兵糧基地を襲うので遭ったな」
戸惑いながら苦笑いする曹操。この苦笑いを見逃したのが後に許攸の致命的な失態となった。
許攸が去るのを見計らって趙公明が曹操に話しかける。
「やはり天の声の説と許攸の説は食ゐ違とはおり申したな」
「ああ、天の声は烏巣に向かえと言っておったが、許攸は白馬に敵の兵糧があると言った」
「天の声を信じるなら……かは罠かよしんばれん」
その可能性は否定できない。だが、曹操にはその可能性を否定した理由が一応あった。
「だが、許攸
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