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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第59話 「第三七代銀河帝国皇帝ルードヴィヒ一世」
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る名優が舞台に立った。
 これからも現れるだろう名優たち。その中で誰もができるだけ良い役を得ようとしてきた。
 しかしそれにしても計画を実行すらできずに終わるとは……。

「何と言っていいのやら」
「何もなくてよかったではないか?」

 オーベルシュタインはそう言うが、どうにも肩透かしを食らった気分だ。

 ■ノイエ・サンスーシ 黒真珠の間■

 ルードヴィヒは玉座に向かい、一歩ずつ近づいて行く。
 居並ぶ貴族百官に背を向け、王冠に向かって歩いている。みなが固唾を飲んで見守る中、玉座におかれた王冠を手にしたルードヴィヒが、王冠を高々と掲げて見せた。
 そしていともあっさり王冠を被る。
 マントを翻し、振り返った。
 第三七代銀河帝国皇帝ルードヴィヒの誕生である。
 貴族たちを睥睨する姿に、一瞬、音が消え、色彩も消えた。
 モノクロの世界。
 しんっと静まり返った黒真珠の間。
 玉座に在る皇帝のみがあざやかな天然色。
 それこそが誰もが望む皇帝の証。本物の専制君主だと思い知らせた。

 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム。
 ルドルフ大帝を始祖とする銀河帝国の歴史の中には綺羅星の如き、巨大な恒星のような。と称される者は幾人かいる。
 数多の才能、その煌き。その中にあって唯一人。
 太陽のような、と称される皇帝。
 広い銀河の中で唯一、誰もが仰ぎ見る太陽。
 ルドルフ大帝は雷。ルードヴィヒ一世は太陽のようなと後の世に記される。
 太陽帝ルードヴィヒ一世。誕生の瞬間だった。



 皇太子殿下はご機嫌ななめ 完。



 おまけ。

 ジークフリード・キルヒアイスです。
 皇太子殿下が皇帝陛下となられて、早いものでもう一年になろうとしています。
 といっても摂政皇太子が、皇帝親政になったぐらいで、わたしはあまり変わりがありません。
 そう!!
 ラインハルト様に比べれば、わたしなど、相も変らぬ平々凡々たる庶民といっても宜しい。
 ラインハルト様はお変わりになられた……。

「やかましいっ!! さぼろうとするなぁー」

 ここはノイエ・サンスーシ内の皇帝執務室。
 部屋の中で叫んでいるのは、陛下ではなく。ラインハルト様です。
 思わず、両手両膝を床につき、がっくり落ち込みそう。
 陛下が即位されてすぐにリッテンハイム候とともにハイネセンに向かい。協議を行った。同盟側の戦略を一目で看破した軍事的才能は、帝国にとって有益であり、軍内でも一目置かれだした。
 それだけに軍からは惜しいという声と、戦略に優れた人物が陛下に近しいところに位置している状況を喜ぶ声とに分かれている。

 軍の幼年学校を卒業したラインハルト様は士官学校ではなくて、オーディンの帝国大学へ進学さ
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