準備
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セシリアが説明してくれるものの、響は興味なげにハンバーグを咀嚼する。それを見ていたシャルロットが小さく息をつくと響きに問うた。
「もしかして響さ、興味ない?」
「もしかしなくても興味ねぇな」
「だが響の夜天月ならば優勝は見えるだろう? 近距離武装しかないのがネックだが」
話を聞いていたラウラも加わってくるが、響はそれを聞いてもつまらなそうにしていた。
「何が楽しくてそんなイベントに出なくちゃならねぇんだか。第一、お前らはスポンサー的なもののために頑張んなきゃいけないんだろうが、私には関係のないことだからどうにもなぁ」
「ですが専用機部門と訓練機部門の二つに分かれていますから……もしかしたら響さんも出るように言われてしまうかもしれませんよ?」
「そうなったら全力でサボるわ。学園祭のときはノリで何とか切り抜けたけど今回は休ませてもらうし、それに、私が戦いたいのはお前らじゃなくてあいつ等だからな」
『あいつ等』と言う言葉を聞いた瞬間、三人の顔が強張った。その中でラウラは小さく頷いた後呟いた。
「亡国機業か……」
「正解だラウラ。あいつ等を叩き潰すのが当面の目標だな。特にあのチビスケは最高の獲物だ逃しゃしねぇ」
ギラリと光った響の瞳は草食動物を見つけたときの肉食獣のそれだった。シャルロットはそれに苦笑いをしていたが、セシリアは響が言っている少女のことを思い出していた。
彼女が搭乗していたのはセシリアの故郷であるイギリスの開発したIS『サイレント・ゼフィルス』だった。
学園祭が終わってからというもの、気にしないようにと思ってもどうしても気になってしまうのだ。
……あそこまで精密な狙撃とビットの扱い……このわたくしが遅れを取ってしまうなんて。
ギュッとスカートの裾を掴むセシリアだが、その額を響がデコピンで弾いた。
「あぅ!?」
「なぁに暗い顔してんだよ。まだチビスケに負けたこと気にしてんのか?」
「……恥ずかしながら」
小さく頷いた彼女に対し響は大きくため息をついたあと、「よし」とだけ告げセシリアに言い放った。
「デートでもすっか?」
「デッ!?」
その発言にセシリアは吹き出し、シャルロットとラウラは口を押さえて絶句していた。
「そんなに驚くことか?」
「そ、それはまぁ……響さんはどちらかと言うとそういうのをしない人だと思っていましたので」
「ふーん、んじゃあやめるか」
「いいえ! 行かせていただきます!!」
響が軽く言おうとしたところでセシリアが目をらんらんと輝かせて彼女の手を握ってきた。その動きは凄まじく早く、響でさえ目が追いつかなかったほどだ。
「お、おう。わかった、それ
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