48:リング・オブ・ハート
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界の左上の隅には…………HPバーがあった。
79/79 と、見るも無残なあの数値のままではあるが、確かに……
――ボクは、生きていた。
どうして……と思う前に、
「…………?」
視界の左隅を見つめていたその焦点に、見慣れない色がチラついて見えた。
……ピンク。ベビーピンクの、髪だ。
仰向けに寝るボクの視界の左隅……つまり今のボクの視界の死角である左手の枕元へとさらに首を転がすと、そこには……
「ゆっ……」
と、謎の発音をしたピンク髪の持ち主――そんな色をした人は、ボクが知る限り後にも先にもリズベットしかいない――が、ボクの枕元の椅子に座ってボクを見ていた。
リズベットは口を「ゆ」の形にしたまま、ぎょっとしたポーズと仰天の表情でこちらを見ており……
突如、ガタッと席を立つと共にバタバタとドアへ駆け走り、開け放つやいなや外へと声を張り上げた。
「ユミルが目覚めたわよっ!!」
と。
すると一階からこの部屋へと複数人が階段を駆け上がり、廊下を走ってくる音がして……シリカ、アスナの順に部屋に雪崩れ込んできた。共にボクの顔を見るなり、ホッと息をついている。そして、
「起きたか……ユミル」
最後に入ってきたキリトが、安堵を滲ませた声でドアをくぐってきた。
それを見たボクは、ゆっくりと上体をベッドから起こした。
「キリト……なんで、ボク、生きて……」
ボクは死んだはずだった……と、今更思いたくはないけれど。それでも確かにボクのHPはゼロに尽きたはずだった。そしてこの身がポリゴンの結晶に散った実感すらもあった。
それに、さっき見ていたあの白の世界の光景――。
それなのに。どうしてまだボクの身体は……いや、魂は、このソードアート・オンラインの中に留まったままなのか……?
「……それは今から説明するよ」
キリトは、さっきまではリズベットが座っていた、ボクの枕元にある椅子に腰かけながら言った。
そしてその口から事実が語られる。
――ボクは、自分がそう感じていた通りに、確かにその身を散らせてこの仮想世界から消え去った。
そしてそれを見届けたキリトたちが悲しみに明け暮れようとしていた、その時……
ボクの傍で共に最期の時を待っていたと思われたベリーがすっくと立ち上がり、空を見上げたと同時に……角の先端を中心に、眩いまでに青白く輝き始めた。
しかしその輝きが強まるごとに仔馬の身体はどんどん薄まっていき……やがてベリーはボクが散った場所へとその輝く角を傾けた。するとその角先から雫が落ちるように輝きが零れ落ち、今度こそ目も眩むような輝きが辺りを覆い――
次に目を開けるとそこには……散り去ったはずの、眠るボクの身体が横たわっていた
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