48:リング・オブ・ハート
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」
「マーブル!?」
アスナとユミルが驚いた声を上げたのも無理はない。
マーブルは、ドアをバタンッ開けて部屋を走って出ていったのだ。
リズベットは慌ててそれを追いかけるも……すぐに部屋に戻ってきた。そしてなぜか微笑んでいる、その目にも……涙が小さく浮かんでいた。
「……マーブルさん、一階で泣いてたよ。……すごく、喜んでたわ」
耳を澄ませば、開いているドアの向こうから、
『〜〜っ……ぁぁ……っ、救われた……あの子も、私もっ……!』
……という、涙に濡れる喜びの声が漏れ聞こえていた。
「だから今は、そっとしておきましょう……」
そう言いながら、リズベットは後ろ手にドアを静かに閉めた。同時に、かすかに聞こえていた彼女の声も完全にシャットアウトされ聞こえなくなる。
「マーブル……」
耳の良いユミルの事だ、彼にもさっきの声は聞こえていたのだろう。そうつぶやいた彼は、愛しそうに胸に手を当てていた。
その心に……あたたかな温度が灯るように。
「……そうだ。キリト達にも、言わなきゃね」
そのまま胸に手を当てたまま少しして、ユミルは俺達を眺めて、言った。
「――――『ありがとう』」
――なにも躊躇われなく言われたその言葉。
――輝くような、もう曇りの欠片もない、笑顔とともに言われたその言葉。
その笑顔は例えるならば、それは二人が共に歩き始めるためのスタート地点。
その輝きは例えるならば、それは道しるべ。
離れては反発し、近寄られてはすれ違い……ずっと交わることのなかった二人が、寄り添いながら歩く為の……輝く、まっすぐな一本道の笑顔だった。
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