拳神現る……!
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いな、と素直に思う。
剣神で最強の自分が思わず負けるかもしれないと頭の中で想定できるこの感覚が堪らなく愛おしいと同時に
「はン……」
殺意に塗れた笑顔を浮かべていることも自覚する。
負ける? この俺が? 最強の熱田・シュウが、と。
そしてその脳内の問いに答える言葉は何時も同じであった。
冗談じゃない。負けるはずがない。
何故なら、既に俺の敗北は捧げている。
唯一無二の敗北はもう不可能の王に捧げているのだ。
だからこそ、この身に敗北は与えられないし、与えられてはいけない。そして負けるはずがない。
だってこの世で俺に勝っていいのは───
俺に勝っていいのは……!
その後に続く言葉は内心でも無理矢理断ち切るようにして更に前進する。
何一つとして敗北する理由はないと証明する為に。
一歩、確かな一歩を大地に着ける。
それは敵に近付くためのものであり、こちらが勝つのだという示しだ。
だから、当然というように相手からは引け、という返事の拳が返ってくる。
ならこちらも返事に拳を返そうと思い、ぶつけるように拳をフック気味に相手に送る。
水蒸気爆発すら起こる拳に、しかし相手はインパクトの瞬間に拳を開き、こちらの腕を掴もうとする。
だからこちらも更に一歩進み、相手の膝裏に足を入れる。
「よっと……」
そしてまるで草刈りのように振るうと相手は綺麗に後ろに倒れようとする。
だからこちらも遠慮なく
「───」
追撃の拳を放った。
「がっ……!」
どうにかして拳に対して腕を合わせることによって直撃は避けたが数メートル以上飛ぶ威力をその身に受けて体がミシミシいうのが聞こえる。
だがそれ以上に
「今のは何かね……!?」
いきなり自分は後ろ側に転んだ。
確かにいきなり足裏に衝撃みたいなものは来た。
しかし衝撃を受けるようなものは何もなかったのだ。
なのに自分はまるで何かに引っかかったかのように転んだ。
だけど答えは半ば出ている。
何故ならこける前に相手の右足が急に消えたのを見たのだから。
「歩法……」
しかも体が消えるのではなく一部が消える限定的な死角移動。
攻撃の動作故に恐らく消える瞬間はそこまでは長くはないとは思うのだが
瞬間的にとはいえ攻撃が見えなくなるというのは……
背筋に汗が流れていくのが実感できる。
これからの流れが読めるが故に対処方法を考えるために知恵熱が生んだ汗だ。
恐ろしいと思う。
剣神であることがではない。
今、現状で追い詰められている事がではない。
一体、どれ程の修練と死を経験して来たのだね……!
ここまでの領域に来るにはただの修練では物足りない。
恐怖という意味の死を両手の
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