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不可能男との約束
拳神現る……!
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出すのは三河争乱の時の彼の言葉であった。
彼は言った。
俺は世界最強だ、と。
最初はただの冗談と思っていたし、今までもそうであると思っていた。
しかし違った。
違ったのだ。

「───武蔵副長!」

「あ! 何だよ英国産の詩人!」

返ってきた返答にTes.と答え、彼に問うてみたいことを問うた。

「───君にとっての最強とは何かねGod!」

「そんな簡単な問題でいいのか!? じゃあ答えてやる───最後に勝つのが最強だ!」

「───見事……!」

最初から性能を頼りに勝つのは最強の流儀ではない。
それは無敵のつまらなさだ。
かかる困難に対して真っ向から挑んで、苦しみながらも最後に立って勝つこそが最強だと声高らかに叫ぶのが最強の流儀。
剣神だから強いのではなく。
暴風神だから最強なのではなく。
俺だからこそ最強なのだという自負。

素晴らしい……

思わず感嘆の吐息を戦場に出してしまいそうになる程であった。
先日のノリキという少年といい、武蔵はこんな人間か溢れているのかと思うと感情を封じれない。

武蔵はこんな詩情を持って世界に挑む集団なのかね……!

ならば、それは間違いなく現時点では英国の敵だ。
だからこそ

「ならば私に対しても最強を謳えるかねYou!」

「謳えねえと思ったか色黒詩人……!」

その言葉を互いの開始の合図とし、速度がぶつかり合った。






そこから先は連打の繰り返しであった。

「おお……!」

詩人の癖に吠えてくる相手は間違いなく手加減などしてこなかった。
左左左右右左右左左、とこちらの爪を剥がした左の方に攻撃を集中してくる。
こちらの弱い所を攻めることに躊躇いもなければ手加減もなかった。

いい空気吸ってるぜ……!

だからこそ、こちらも加減なぞしない。
フックが来たら肘で弾き、ストレートが来たら右にステップ、アッパーが来たら手で弾く。
逆にこちらの貫手は半身で逸らされ、フェイクと共に出される蹴りは膝で防がれ、殺る気満々のメスは本気のストレートで破壊される。
実にいい。
英国住民がこんな気質なのか。もしくは女王の盾符がこんな気質なのかは知らないが実に愉快だ。
勝負を捨ててこない。
昨今は歴史再現云々を語って負けても仕方がないじゃないかみたいな雰囲気があり、更には自分が剣神であるが故に大抵の存在は自分に対して畏怖と諦めを伝えてくるのにこいつらは気にせず神相手に拳を向ける。

「いい不遜だ……!」

そうだとも。
神様に対して不満やら傲慢を見せる相手でないとこちらもテンションが下がるというものだとフェイクを織り交ぜた貫手を躱しながら思う。
本気だ。
本気を持ってこちらに相対してくる。

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