番外11話『超ベリーグー』
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がそれでもナミが何かを言おうと口を開こうとしたところで――
「――クロコダイル!」
扉の入り口。階上に、ミス・オールサンデーが連れてきた二人の客の姿が。その姿を認めた檻の中のルフィとウソップがその人物の名を同時に呼んだ。
「ビビ!」
名を呼ばれたビビはよほど怒り心頭らしく、ルフィたちには一切反応せずクロコダイルへ言葉を交わす。
「やぁ、ようこそアラバスタの王女ビビ。いや……ミス・ウェンズデー。よくぞわが社の刺客をかいくぐってここまで来たな」
「来るわよ、どこまでだって」
徐々に高まる緊張の中で、ビビの後ろで佇むハントは小さく肩を落としていた。
「……ローグタウンの時のスモーカーといい、今の時といい……俺って存在感ないのか? しかもクロコダイルだけじゃなくてルフィとかウソップにも声をかけられないし……そんなに存在感薄いかなぁ……あれ? ということはトイレ言ってる間にみんな勝手にどっか行ってたのも忘れられてたとか……い、いやまさか……いくら存在感が薄いといっても」
寂寥感と自虐感たっぷりでつぶやかれたハントの独り言。
それを聞いていたミス・オールサンデーがハントの肩をたたいて励ますかのように言う。
「……大丈夫よ、存在はしてるから」
「……そっか、そうだよな。ありが……あれ今バカにされた?」
「ふふ」
「いや『ふふ』じゃないから。励ますふりして貶めるとかどんな高等技術? 家族にもそんないじり方されたことないんだけど」
実に緊張感のないやりとりだが、ハントがまとう空気は全くもって表面的なそれとは違う。
鋭い目つき。いつ何が起こっても対応できるように軽く膝を沈み込ませている態勢。声色の端々から感じられる精悍さ。ハントから感じられる雰囲気は先ほどミス・オールサンデーと対峙していた時よりも格段に違っている。
どこかふざけたやり取りの中ですら敵へと集中しているという事実が本当にクロコダイルを倒そうとしているという事実へとつながり、それがまたミス・オールサンデーからすれば興味深い。
ビビとクロコダイルとは対照的に緊張感のない会話をするハントとミス・オールサンデーだったが、その会話は「お前さえこの国に来なければアラバスタはずっと平和でいられたんだ!」というビビの叫びにより中断された。
両手小指に小さい刃物をつけた紐を取り付け、その刃物を回転させながら相手を切り裂く技『孔雀一連スラッシャー!』をクロコダイルの顔面めがけて放った。それを、クロコダイルは避ける仕草すら見せずに佇み、そしてその結果。
クロコダイルの頭部が不自然なほどにはじけ飛んだ。
「うおお!」
興奮するルフィたちをよそに、ルフィたちと同じく牢獄の中にいたスモーカーが小さく「無駄だ」と呟いた。
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