クズノハ提督遠足 其ノ弍
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
う程、顔を紅潮させ見るからに恥ずかしそうに立っていた。
「そりゃ数時間も褒めちぎられてたからな。雷、電! そろそろ帰るぞ」
葛葉は苦笑いを浮かべつつ、長話の途中から眠り出した二人を起こして帰宅の意を伝えた。
「葛葉、折角だから晩御飯食べて行かないか?」
「え、いいのか?」
「もう夜だしな。それに……」
安藤は応接室の扉に目を向けながら低い声で呟いた。
「三人増えようが全く問題ないくらい食う大飯食らいがいるからな……」
ーー食堂
調理場から食欲をそそる香りが漂う広い部屋の中、葛葉と安藤達は既に長椅子に着席していた。葛葉を挟んで左に雷、右に電が座っており、二人に挟まれた葛葉の正面に安藤が、向かって左隣に時雨という形で座っている。今は部屋には彼らしかおらず、安藤曰くいつももう少し遅くに皆が揃い席に着くのだそう。
「この匂い、カレーか!?」
「いい匂いなのです」
葛葉一行も料理が完成するのを心待ちにしている様子で、それとなく厨房の様子を窺っていた。
芳しいカレーの香りが濃くなるに連れて、部屋の扉周辺が徐々に賑やかになってきた。
「そろそろだね」
「安藤の仲間達か?」
「ああ。優秀だが、鎮守府の家計を悩ます最たる原因のお出ましだ」
安藤は少々諦め半分といった表情で、いよいよ騒々しくなったドアを見た。葛葉もつられて見た時、ドアが勢いよく開かれた。
「ああ、やっとご飯の時間!一航戦赤城、食べます!」
「赤城さん、よだれが」
弓を携えた弓道服の女性が二人、食堂へと入ってきた。
「確かにたくさん食べそうね」
「はわわわ、空母のお姉さん達がいっぱいなのです!」
「何、空母!?」
空母とは、航空母艦の略で水上から航空機を飛ばし敵艦を空から攻撃する為に作られた軍艦である。滑走路となる飛行甲板の他、航空機の燃料や武器を備えており、正しく航空戦を行うのに特化した艦である。基本的に駆逐艦や軽巡洋艦よりも大型であると同時に運用コストも多い為、指揮には相当な腕が要るものとなる。
「安藤お前、実は凄いやつだったんだな」
「褒めてもカレーは増えんぞ?」
「ちっ……しかし、空母って相当コストが掛かるんじゃ」
「ああ、言っただろう? 金食い虫だって」
「何かさっきより更に酷くなってませんか!?」
真っ先に食堂に入り、先に席に着いた白い弓道着と赤のスカートを着た艦娘が涙目で訴えた。
「あれ、お姉さんどこかで……あ。やっぱり何でもないわ」
「どうした雷?」
「ななな何でもないわよ司令官?」
雷は冷や汗を一筋流し目を明後日の方向へ泳がせながら、明らかに何かある様な態度で誤魔化した。
「あら、あなたは。先程は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ