クズノハ提督遠足 其ノ弍
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二人が苦しそうだ!」
「……何してるのさ提督」
慌てふためく葛葉の後ろから安藤に向けて冷ややかな言葉がかけられた。
「げ、時雨」
『時雨』と呼ばれた少女は安藤の横に立つや否や襟を引っ張り、助けを求めてもがく二人から安藤を引き剥がした。
「おお、ありがとう。時雨だっけ?」
「うん、僕は白露型駆逐艦2番艦の時雨。確か安藤提督の友人だね? 遠いところお疲れ様」
時雨は一礼し、安藤に向き直って説教を始めた。提督が、指揮を取る艦娘に叱られる様はよくよく考えてみると異様な光景の筈なのだが、不思議と葛葉は違和感を感じなかった。
「全く……何度言っても治らないんだから」
「いやぁ……すんません。本当に」「あー時雨?説教はいいが、外でやるのはやめないか?人の目もあるし」
葛葉に指摘されて初めて時雨は周りの注目を浴びている事に気付き、赤面して安藤と共に玄関へ消えて行った。
ーー応接室
「粗茶ですが」
「おおありがとう」
「ありがとうなのです!」
「……デジャヴかしら?」
茶を配る時雨の姿を見ながら雷は、つい先程見た光景と照らし合わせていた。
「あのー、時雨?」
「何? 提督」
「私のお茶は……いや何でもないですすみません」
時雨の冷ややかな眼光に竦み、安藤は葛葉の正面でその小柄な身体を更に縮こませた。
「提督、まだ終わってないからね」
「ひゅー、手厳しい」
葛葉は他人事とばかりにその光景を楽しんでいた。しかし、それを見た安藤も黙ってはいられなかった様で
「葛葉はいいよな。そんな可愛い駆逐艦達と一緒に仕事できて。世の中の不公平を呪いたくなるな」
「それじゃまるで時雨が可愛くないみたいな言い方じゃないか……あ」
葛葉は反射的に言い返してしまった。言ってから時雨に対して失礼な言葉であると気付き、葛葉が即座に謝罪と撤回をしようとしたその時、安藤が突然立ち上がり葛葉を睨みながら叫んだ。
「時雨が可愛くない……だと? ふざけるな!」
「いや、すまん。つい考えもなしに」
「いや許さん。葛葉、お前が時雨を可愛いと思うようになるまで帰さん! いいか?数多くある時雨の良いところの中でまず最初に挙げるとするならば……」
こうして安藤による熱弁が続くこと数時間。外も仄かに暗くなった頃、葛葉は痺れを切らして叫んだ。
「わかったわかった! 時雨は可愛い! もう十分承知してる!」
「昼食の前におしぼりを持って来てくれた時、この娘は……何だ、もういいのか? まだ半分くらいしか終わってないが、まぁいいだろう。時雨、そろそろ暗くなって来たし晩御飯の……」
安藤が時雨に視線を移すと、時雨は本当に火が出るのでは無いかとい
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