クズノハ提督遠足 其ノ弍
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ー安藤が着任する鎮守府への道中ー
「あれ?」
「どうした雷?」
「ちょっと忘れ物したみたい。取ってくるわ」
「じゃあ一緒に」
「すぐに戻るから大丈夫よ!」
そう言って雷は鎮守府へと戻っていった。
「…危うく司令官に内緒で持って来た予備のおやつを忘れるとこだったわ…ってあれ?」
雷が戻った矢先、鎮守府の玄関前に白の弓道着と赤のスカートを着た長い髪の女性が倒れていた。
「救急車呼ばないと。あと応急処置も」
「ぁ…」
「どうしたの?どこか痛むの?今助けるから少しだけ」
「……お腹減った…」
その瞬間、間抜けた腹の音が響き渡った。
「本当は司令官に内緒で食べるつもりだったけど…あげるわ」
そう言って雷はリュックサックからポテトチップスを一袋取り出し、空腹で倒れている紅白の女性に差し出した。
「ほ、本当にいいの?」
「あったりまえじゃない!倒れてる人を見捨てるなんて出来ないわ」
「あ、ありがとう…この恩は忘れないわ…もぐもぐ」
赤白女はポテトチップスの袋を受け取った瞬間、目にも止まらぬ速さで中身を平らげた。
「ところでお姉さん、家はどこなの?」
「この先ちょっと行ったところよ。もし迷惑じゃなければお礼がしたいのだけれども…」
「気持ちは嬉しいけど、今皆を待たせてるのよ」
「そう…それは残念。またいつかあったその時はお礼させてもらえるかしら?」
「勿論よ!」
そう答えた後、雷は元気よく走り出した。
「お、帰って来た」
「お待たせ司令官!」
「探し物は見つかったか? 何を探してたんだ?」
「あー……見つかったけど、もう良いのよ」
「葛葉ー? もうすぐで着くぞー。早く来い」
「お、おう……まぁいっか」
首を傾げ疑問を抱きながらも葛葉は安藤の元へと急いだ。
「この角を右に行った先に私の勤め先がある」
「会社員みたいだな」
一同が角を曲がると、そこにはつい最近どこかで見たような建物が立っていた。因みに芝田はデスクワークが残っていた為、葛葉達だけが向かうことになった。
「……そっくりだな」
「そっくりね」
「そっくりなのです」
「仕方ないだろ? 芝田のところの鎮守府と同時進行で同じ人達に建てられたんだから」
「にしても似過ぎだろ」
「耐震強度とかどうなのかしら」
「流石にそこに手は抜かないと思います……」
「失礼だけど可愛いから許す!」
安藤は手を広げ満面の笑みを浮かべながら雷と電を追いかけはじめた。
「「わー!」」
「こら安藤追いかけ回すな!
あーもう誰か助けてくれぇ!」
人任せな提督である。
「可愛いなー嗚呼可愛いなー可愛いな」
「安藤離れろ!
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