26話
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が、サツ相手に本気出すと、奴との決戦に障るからな。この辺で勘弁してやる」
「そりゃ、ありがたいことで」
濡れたベストを脱いで半裸になったヴァルドはステージ上でふんぞり返ってこちらを威圧してきた。
あくまでもさっきの戦いは多少てこずったが負けてはいない、引き分けでもなくやる気をなくしただけだと主張しており、バイパーの全員がディーノが余計なことをせずに戦いが続いていれば押していたヴァルドが勝っていたのにと主張していた。
バイパーたちが冷却スプレーを渡してヴァルドの火傷を治療しているが筋肉質の上半身には無数の傷跡があり実戦の豊富さを感じさせるが、ランディは俺には負けるなと思いつつベストのポケットから覗いている青いセピスのネックレスを見逃さなかった。
(そりゃこんだけ火遊びしてれば対処もしてるか)
ライヴハウス内の焦げ跡を見れば、似たようなことを何度かやっているとわかる。そのために準備もしていたということだった。
それはクールネックレスと呼ばれる水のセピスを散りばめた首飾りで、その属性を付加することで火の属性を緩和出来る代物だ。自作したような小さな青いセピスで作られたものだったので元々火傷しにくい程度の効力しかないネックレスの効果もほとんど望めないものだったが、これがあるかないかでは大幅に動きが違ってくる。
それでも自然反射が出てしまうから隙が出来てしまったわけだが。
「それで約束通り事件の話を聞かせてくれるんだろうな?」
「ふん。まあ、いいだろう」
対策なしで自ら火に飛び込んだロイドを多少は認めたということだろう。
ようやく事情聴取の開始である。
「事は五日前の夜だ。ウチのメンバーのコウキが、寝座に帰るところを青坊主共の闇討ちに遭った」
闇討ち!テスタメンツで聞いた話と同じだ。そう言えばワジが同じ日に救急車で鉢合わせしたと言っていた。
驚いているとヴァルドは馬鹿にしたように続けた。
「奴らも似たようなことを言ってたんだろうが、それこそ知性派気取りの奴らのやりそうなことだ。俺らをやって自分のところをやって難癖つけたのさ。俺たちサーベルバイパーは武闘派で鳴らしてる。闇討ちなんて汚ねえ真似するわけねえだろうが、なあお前ら?」
当たり前だ。俺達は正々堂々といつも戦っていると語気の荒いバイパーのメンバーは賛同の声を上げた。
その姿は粗暴だが酷く単純で、力を見せたロイドへの罵りや敵意こそまったく隠さないが、すぐに襲い掛かるような殺気はまったく感じなくなっていた。
戦闘に入ればさっきのような多少小細工を弄したりもするだろうが、そこに至る過程に対してヴァルドが全員で掛かれば圧勝出来たにも関わらず一騎打ちをしたように矜持は持ち合わせているようで、ましてや長く争って来た抗争相手をいきなり闇討ちするような
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