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宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説
第三章 三話 オオハラの野望
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セグェン・グラスチで働いていた頃の話なのですが……」



惑星ドゥンガ 酒場

ドゥンガの酒場にいたのはパダムと白野だけではない。
ギリアスも束の間の休息を得る為、クルー達と別れて単身この酒場へとやってきていた。炭酸水のコップを持ったギリアスの視線は、酒場の天井から吊り下げられている中型のディスプレイに向けられていた。
放送されているのは、この地方のニュース番組である。その内容は、どうもギリアス好みの剣呑な内容であった。

「アルデスタ自治府とルッキオ自治府は先日遂に第一種戦備体制に突入。ベクサ星系近辺は非常に危険です。無関係の一般人は極力接近避けてください」

ギリアスはそのニュース番組を見ながらコップの炭酸水を一気に飲み干す。どうやら、ネージリンスからエルメッツァにやって来て彼的には正解だったようだ。丁度よく宇宙が混沌としている。
望むままに戦うことができるだろう。そして、戦って勝ち、名声を得ることは彼の目標への最短ルートであるはずだ。

「……ここで緊急放送です。ルッキオ自治府において、代表のオオハラ氏の演説が広域通信にて放送されています。こちらから中継を……」

アナウンサーが最後まで言い終わる前に、ディスプレイの画面がざらついて一瞬砂嵐となる。しかし、すぐに映像は回復し鮮明なものとなった。
だからといって、ギリアスの感銘を誘ったりはしなかった。何故なら、ディスプレイの中心には中年の男性が現れたのみだったからである。
中年男性の胸のあたりには、【ルッキオ自治府代表オオハラ・シ・カーク】とある。
とても一つの自治府の代表とは思えないような貧相な印象をギリアスは受けた。

顔は丸みを帯びており、頭頂部の毛髪は八割型タンホイザに叩き込まれ、露出した地肌は脂ぎっていてヌラヌラと照明の光を乱反射しており見苦しいことこの上ない。その代償かどうかは不明だが、口髭だけは立派でありともすれば奴の本体はヒゲだ、と揶揄されかねないアンバランスさを醸し出している。

そのオオハラ氏が、ディスプレイの中にて演説を開始した。

「我がルッキオは正当な権利を侵害されている。ベクサ星系を最初に発見したのは我々ルッキオなのだ。だが、アルデスタは図々しくも我々の後からやって来て同じことを主張する。ここはアルデスタが見つけたのだ、彼らは口を揃えてそう言うのだ。だが、それは違う。断固として認めてはならない。我々ルッキオ自治府は自らの権利を悪辣なるアルデスタより護る為実力の行使すら辞さぬ事をここに宣言する!」

ディスプレイの向こう側、恐らくはオオハラ氏が演説をぶち上げているルッキオの政府施設の何処かなのだろうが、ともかくその場所が歓声で揺れた。
それと反比例して、酒場の中はザワザワとした賑やかな喧騒に満ちている。
向こう
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