第三章 三話 オオハラの野望
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ある。
ルートン、バーク、ゲイケット、ユニコーンのクルーはただ一人の例外すらなく熟練した腕前を持っている。
そして、得てしてそう言ったクルーは自分の認めた艦長の下でしか働こうとはしない。
白野は、そういった誇り高い0Gドッグ達をスカウトして、彼らにその下で働くにふさわしいと確信させる器量と手腕を示す。
「やあ、こんにちは。艦長。良いクルーは見つかりましたか?」
「パダムか。いいや、今回も空振りだ」
ユニコーンの機関士で、温和な人格と浅黒い肌の持ち主であるパダム・パルは、確かな実力と豊かな経験の双方を両立させ、この短期間でユニコーンのクルー達としっかり馴染んでいていまやなくてはならない人物になっている。
そして白野に言わせればかなり【イケるクチ】であり、静かなる酒豪としてごく一部のユニコーンクルーに認知されている。
ゲイケットとパダムが飲み比べをした時、ゲイケットが音を上げてテーブルに突っ伏した段階でパダムは【遠慮したように】グラスを置いたのである。
「まあそんなに簡単に見つかっても私の沽券に関わるというものです。気長に待つべきでしょうね」
パダムは言って、白野の隣のテーブル席に腰掛けるとマスターにジンを注文した。
「それはそうと、バークとはうまくいっているか?」
「バーク君ですか?ええ、話も合いますし」
それは良かった、と白野は軽く息を吐いてその空白を埋めるかのようにグラスを傾ける。どうも、バークは無口な分特定の人物以外との人付き合いが難しくなり仕事に支障をきたすのではないかと思って心配していたのである。
だが、どうやら無用の心配のようであった。
「彼はすごいですね。今まで機関士と整備士を兼ねていたんでしょう?なかなかできることではありませんし、仕事がテキパキとしていて滞らないんですよ。私も見習いたいくらいです」
「そうだな。奴は腕利きだ。大マゼランで雇えたのは本当に幸運だった。そうでなければ、ユニコーンは今頃ロートルもいいところのポンコツだったろうに」
白野自身、有る程度整備士として心得はある。しかし、あくまで片手間で習得可能な程度でしかなく、バークの技量とは比べることすらおこがましい。
故に、白野はバークやパダムのような専門職のクルーの力量に絶大な信頼を寄せているのである。
何もかもを一人でやる必要はない。その分野で最高の仕事ができるクルーを見つけ出し、雇ってその職に据える。艦長の役割はそんなところである。
「ユニコーン……本当に良い艦ですね。私も機関士歴は長いですが、あれ程素晴らしい艦にであったことは数える程しかありませんよ」
「ほう、お褒めに預かり光栄だな。…参考までに今まで見てきたその数える程の艦について知りたいものだ」
「そうですね。アレはまだ私が
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