第三章 三話 オオハラの野望
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「私も賛成です。信頼できる応急担当の方がいてくれれば私もさらに仕事がやりやすくなる」
さらに賛成票を投じたのは砲雷班のルートンと機関長のパダムである。
「みんなそろそろ人手が欲しいところというわけだな。俺もユニコーンの人手不足にはいかんともし難い思いだ。この案、採用しよう。エルメッツァでは、海賊退治とクルーの募集を集中的に行う」
過半数の賛成票を得たこのバウト発案のメインクルー募集計画は、こうして承認された。白野はこれからどのようなクルーをスカウトし、スカウトされた方はどのような活躍を見せるのだろうか。
*
バウンゼィ ブリッジ
さて、彼の弟子であるギリアスの方はどうであろうか?
師として仰ぐ白野のように、人材収集に気を向けていたかというとそうではなく、目下彼の最大の課題である海賊討伐にたいする戦闘機動の立案に注力していた。
「んー…どうすっか」
彼の目の前のモニターには、ユニコーンとの戦闘によって得られた貴重な完璧なる回避のデータがある。
もちろん、他人がやって出来たことを、だからと言って自分も出来ると思い込むような愚劣な発想とは無縁のギリアスではあるが、ある一つの事例のデータから自分なりに実現可能な範囲を探り出すことには余念が無い。
「バウンゼィは船足はあんだがなぁ…」
ギリアスの悩みは、バウンゼィの【小回り】にあった。バウンゼィの分類は巡洋艦である。駆逐艦ほどではないものの、高水準の速力を発揮出来る艦種である。
しかし、それは直進速度に関してのことであり素早く方向転換したり艦首の向きを変える為のサイドブースターについては、それを徹底的に突き詰め、その上に艦長の白野の技術と技倆を投じて極限まで昇華させたユニコーンに劣る。
そして、単にバウンゼィにサイドブースターの増設を行えばいいと言う問題でもないのである。
増加したサイドブースターの出力、その全てを完全に制御し思い通りに艦を動かす、まさに人艦一体と言うべき次元に至るまでにどれ程の経験と実力を要求されるか、自信家であるギリアスでさえそれを考えると目を回す。
若きギリアスの悩みは続く。願わくば、その悩みが実りある形で解消されることを…
*
惑星ツィーズロンド 中央政府ビル
エルメッツァ星間国家連合の首都星ツィーズロンド。その中心都市に聳え立つ一際高い建造物が、この中央政府ビルである。
その名の通りこのビルにはエルメッツァ政府の行政能力が一極集中させてあり国内のありとあらゆる政策の草案、審議、施行、公布などが連日行われている。
その政府や束ねる長として国民の選択と信任の上に屹立する指導者の名を、ヤズー・ザンスバロスという。
正式な役職名は【大統領】である。
そのヤズー大統領は、腹心でありエルメ
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