プロローグ
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く回した方が生徒達も喜ぶんじゃないですか?」
「え、えー……?」
駄目だ。全く取り合ってくれない。しかも年上だと分かっているので、敬語を使われるのが何だか息苦しい。
というか、卑屈っぽさを感じる。恐らくこの女子だらけの空間で心に余裕が無いのではないだろうか?ならば教師として、授業後話相手にでもなってみよう。
◆ ◆ ◆
歩が自己紹介をしている頃、イギリス代表候補生であるセシリア・オルコットは苛立っていた。理由はただ一つ、本来女性しか入学できないはずのこの学園に男が二人、しかも片方はいい歳こいた大人がいるからである。
それが気に食わなかった。何故女しか運用できないISを運用できるのか。聞く所によれば、織斑一夏はかの織斑千冬の弟らしい。彼女の実力はもちろん知っている。知っているからこそこの学園に入学したのだ。
だからもしかするともしかするかもしれないので、まだ分からないでもない。
(ですが岡崎歩とかいう凡人は断じて認める事ができませんわ! 27歳までニートだった癖にいきなり入学なんて……お芝居だとしても滑稽すぎますわ!)
学園は一体何を考えているのだ。こんな凡人を入学させるなど前代未聞の事態だ。たかがISを起動出来たぐらいで、なんだというのだ。それくらい当たり前だ。男としては偉業かもしれないが、今更なんなのだ。遅すぎる。
しかも、なんか肌がやけに白いし。北欧人である自分よりも白いかもしれない。なんなんだイエローモンキーめ。
(全く非常に不愉快ですわ!!)
ああもうイエローならイエローらしくしろというのだ。なんなら自分が塗ってしまおうかともセシリアが考えていたその矢先、担任の山田が一夏を大声で呼ぶ。
◆ ◆ ◆
「出席番号順でもう一夏君の番なんだよね……自己紹介してくれないかな?駄目かな?」
山田は一夏がいつまでたっても返事をしない為、大声――というほど大きくないが――を出して呼ぶ。
「は、はい!すみません!」
周りの女子生徒はくすくすと笑う。
一夏は焦る。なんという事だ。入学初日からこんな失態を犯すなど、姉の織斑千冬がいたらまず殴られる。思わず歩の一つ奥にいる幼馴染、篠ノ之箒を救いを求めるような目でちらりと見てしまった。
それがいけなかった。目が合ってしまったのだ。歩は背筋が凍るような目をして早くしろと言わんばかりにこちらを睨む。
「お、織村一夏です!よろしくお願いします!以上です!」
慌てて自己紹介をしたせいで、名前を言うだけで終わってしまった。やばい、いくらなんでも単調すぎた。だが、もう取り返しはつかない。なにしろ元気な声で「以上です!」と宣言してしまったのだ。また言い直すと歯切れも悪い。今より更にぐだぐだになる事が、女の子の感情に鈍感の極みだとよく苦言を言われる一夏にも目に見えて分か
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