プロローグ
[2/8]
[1]次 [9]前 最後 最初
入ってきた時から既に存在感がだだ漏れなわけで。
(他の皆も少し抵抗を感じてるみたいだし……)
一夏の方は憧れの目線が入っているが、岡崎歩の方はない。というか引いている。
なんというか色々同情してしまう。おそらく彼の心情は留年した生徒と同じ信条なのではないだろうか。しかも、自分のような――同級生の場合もあるが――年下に教わるのだ。かなりのストレスになるに違いない。
(それにしても……あの時は恐かったなぁ……)
IS適性試験時の相対した時に見た彼の操縦技術にはゾッとさせられた。当時からすれば実力は劣っているかもしれないが、自分は紛れもなく元日本の代表候補生だ。
その自分が恐怖するなど。
まるで相手の心を読んでいるように動くのだ。磨けば光るどころではないぞこれは。
(しかも……あんな事が起きるなんて)
試験の時の生じた前代未聞の事態。
本人に聞いたら、「絶対防御がついているのだから、変に手加減する必要もない。油断すればこっちが墜とされるので、殺すつもりでやった」らしい。
恐いわ。化け物か。ことISの実技に関しては問題はないはずだ。残るは座学。織斑先生の話では平均未満だったらしいから不安だ。
(思った以上の逸材ですね……)
やはり織斑先生の言った通り周りの生徒の刺激になるのは確実だ。この分だと専用機持ちに、いや、それはある意味では既に達成している。だとすれば残るものは――。
(日本代表……か)
自らが果たせなかった夢。もしかしたら歩が達成するかもしれない。それまでにいくつもの強豪を倒さなければいけないが。
まあ、何はともあれ自分は教師であり彼女達は生徒なのだ。自己紹介で緊張しないように手本を見せなくては。
「皆さん入学おめでとう!私が副担任の山田真弥です」
無反応。あれ?思ってたのと違う。新学期の挨拶って何かもっとこう活気溢れるものではないのか?それよりも一夏を除いた生徒ほぼ全員が早く進めろと言った目で山田を見る。
「この学校は全寮制です。皆さん!三年間仲良く過ごしましょうね!」
やはり無反応。悲しい。
いや、段取りばかり考えていても仕方がない。直面した問題にどう対応するかが教師だ。生徒達に自己紹介をさせよう。
「では皆さんの自己紹介の時間に移りましょう。相川春香さん」
「はい!相川春香です!趣味はスポーツ観戦とジョギングです!」
出席番号一番の相川清香は立ち上がり、歳相応の元気が伺える。続いて、歩の番だ。
「岡崎歩です。以上」
「えっ」
歩は清香同様に立ち上がると名前だけ名乗り、座ってしまった。
予想外の返答。まさか、たったこれだけしか言わないとは……少し理由を聞いてみるか。
「え、え〜と……他には……?」
「ありません。こんなおっさんの自己紹介など楽しくないでしょう。もう1人の方に早
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ