暁 〜小説投稿サイト〜
僧正の弟子達
第二章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ぞ」
 苦笑いを浮かべて伴の者の言葉に返す。
「言っておくがな」
「そうですか。ほら、あれこれ言っているうちに」
「むっ」
 質素だが大きな外観の寺が見えてきた。平地の上にあり建物の左手には大きな鐘が見える。そこに一人の僧がいた。
「あそこですね」
「そうじゃな。あれは」
 慶次は鐘のところにいる僧を見た。そうして言うのであった。
「永明殿じゃな」
「おわかりになられるのですか」
「話では永明殿は腕が長かったな」
「はい」
 仁智寺にいる僧達はいずれも身体は異形である。慶次もそれを知っているのだ。
「その通りですが」
「では間違いない。あそこにおられるのは永明殿だ」
「よく見えますね」
「いくさばにおいては目もまた大事じゃからな」
 笑ってこう答えた。
「これには自信があるぞ」
「それはいいことです。では」
「うむ。茶を楽しもうぞ」
「いえ、そうではなく」
 また慶次の言葉に慌てて突っ込みを入れる。
「お話を御聞きしましょう」
「わかっておる。ほんの冗談じゃ」
「慶次様の冗談は度が過ぎています」
 それは否定できなかった。そのせいで今こうしてその仁智寺に向かってもいるからだ。
「ですから時として冗談に聞こえないのです」
「まあ気にするな。さて」
 寺の門のところで馬を止める。大柄な慶次から見ても実に大きな門である。
「参るか」
「はい」
 何はともあれ寺に着いた。入り口のところで馬を止め中に入る。そこで寺の者を呼ぶのであった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ