第一章
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ですか」
「左様、褌一枚でじゃ」
そしてそのまま喧嘩になったというわけである。
「後はそれで」
「その左目ですか」
「わしは右目じゃった」
何だかんだで喧嘩を受けて立ったのである。
「大人げないからのう。叔父なのに」
「いえ、誰でも怒りますよ」
伴の者の言葉はここでも慶次にとって容赦がないものであった。
「そんなことをされれば。しかも何度目ですか?」
「確か五度目じゃ」
慶次も悪びれたところはない。
「まあよくやる悪戯の一つじゃな」
「全く。懲りておられないのですか」
「傾くには懲りるのは無縁じゃ」
また笑って答える。
「それで傾いておられるか。しかしじゃ」
「しかし?」
ここで慶次の言葉が少し変わった。
「叔父御はやっぱり強い」
「やはりそうですか」
「流石は槍の又左じゃ」
利家の通称である。織田家においては名うての武辺者の一人だ。後に天下人である豊臣秀吉と対しても全く臆するところがなかった。まさに豪傑と呼ぶに相応しい男なのだ。
「効いたぞ」
「それ程ですか」
「拳一発で槍程の威力があったわ」
これは大袈裟ではない。
「全く。力一杯殴ってくれたわ」
「それは慶次様だからですよ」
伴の者はそこまで聞いてこう彼に答えるのであった。
「わしだからか」
「そう。天下きっての傾奇者である前田慶次様だからですよ」
ここにきてようやく彼を褒めだしてきた。
「本気でかかられるのは。では御聞きしますが」
「うむ」
慶次は馬上から伴の者の言葉を聞いた。
「慶次様も利家様には本気で相手をされますね」
「当然じゃ。叔父御は強い」
互いの力量をはっきりとわかっていたからこその言葉であった。
「本気でかからねばわしも怪我をするわ」
「そういうことです。利家様もそれがわかっておられるのです」
「左様か」
「左様です。言うならば御二人は」
「そこから先はわかっているぞ」
笑って彼に告げた。
「似た者同士と言いたいのじゃな」
「はい、その通りです」
伴の者もはっきりと答えてみせた。またしても。
「叔父と甥で。よくもまあ」
「まあそうじゃな。わしもそれは否定できぬ」
外見は似ていない。しかし性格は本当に似ていたのだ。
「しかもじゃ」
「しかも?」
「悪い気もせぬ」
それも自分で認めた。
「言われてもな」
「それはよいことです」
「そうじゃな。それでじゃ」
「はい」
話は変わった。
「その叔父御から言われてのう。この度は」
「仁智寺のことですか」
「そうじゃ。頭を冷やしてこいと」
そう言われてのことであったのだ。そうでなければ今日は都の遊郭で派手に遊ぶつもりであったのだ。戦のない時はいつもそうしているのである。
「全く。きつい叔父
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