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喫茶店
第五章
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「日本も。あたし達にって。曾爺ちゃんの思いを絶対に果たせてくれって」
「どうやってやるかな」
「あたしはコーヒーでやるよ」
 女の子の声は明るさを増した。
「このコーヒーでね」
「じゃあ俺も何かしてみるか」
「あんたも?」
「ああ、このコーヒー飲んでな」
「そうだね、まずは動かないと」
 女の子はにこりと微笑んだ。
「日本もどうにかならないからね」
「曾爺ちゃんが好きな日本にならないからな」
「うん」
 二人は頷き合い、そして女の子の入れたコーヒーが飲まれた。遠い、敗戦から残っているコーヒーが今飲まれていた。廃墟だった国も今では立派に繁栄している。そして。
 全てはこれからだった。呪縛から解き放たれるのは。今二人はそれに向かって動きはじめたのであった。そして日本も。敗戦も何時かは終わり、心は蘇るものなのだから。


喫茶店   完


                   2006・7・3

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