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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
8 「ふりそそぐ空」
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ら……つまりギルドカードの情報がそっくり載っているのだが、約一名は妙に量が少ない。

「……ナギ・カームゲイル……」

 見れば、彼がギルドに登録をしたのは僅か2か月前。問題のクエストを受けた時点で考えると、その時彼はまだ1ヵ月しかハンターとして生活をしていない。その上でHR2という実績。なんでも、彼の住む村を襲ったファンゴの群れ総数50あまりをほぼ1人で撃退したとか。これを評価してハンターズギルド・ユクモ出張支部は同ハンターのハンターランクを1つ格上げしたらしい。
 これはボクも耳に挟んだ話だ。最近モンスターの動きが活発化しているから、ちょくちょくとこういったモンスターの異常行動の報告が来るのだよ。
 しかし、それを踏まえても彼の経歴には明らかに白紙が目立つ。それもそのはず、彼が2か月前にギルドに登録をしてからこの方、受けたクエストはこれを覗けばただ一つ。それも、たかが渓流のジャギィ20頭討伐だ。こんなのでは実力を測れない。

(だが……)

 やはりこの中で見れば彼―――カームゲイル氏がやったとしか思えない。理由は簡単、この略歴には本人の使用する武器の詳細まで書かれているのだ。子供たちはそれぞれハンマーと大剣。医者は非戦闘員。そして、彼は太刀。

「……」

 思考をやめないまま文字を追っていく。
 結果から見れば、“奇跡的に”一人の犠牲者も出なかったという今回の騒動。ハンターズギルド・ロックラック本部はこの事態を重く見、査問委員会を設置。本クエストの査収官を現在査問会議に召喚中である―――。

「……間違いない、彼は逸材だ」

 今回ボクへ降りた指令は、“凍土の安全の確認をすること”。ギギネブラを倒すことではない。つまり、彼らは独力でこの上位クエストに匹敵する困難を切り抜けたというのだ!
 ボクの直観が告げる―――(ナギ)は、明らかに我々と同種(天才)である、と。

「フフ、ハハハハハ!! 面白い! 早く君に会いたいよ、矛盾を背負う人(カームゲイル君)よ!」






***

Scene4.【暗い(くら)い闇の中、どこかで息を吹き返した古の朱は、この日】

***


ガシャン、ガシャン...ガシャン、ガシャン...
カン...カン! カンカン! カン!
シュ――...シュ――...

「ふぅーっ」

 油で汚れた作業着の、割合綺麗な袖の端で浮かんだ汗を豪快に拭う。恰幅の良い赤ら顔の男は、うーんと腰を伸ばしてすぐに「アイタタタ…」とくの字に背中を丸めた。どうも最近歳なのか、重い物を持つと腰に響く。といっても自身まだ50を半ば過ぎたばかりの働き盛りである、と、思っているのだが……。
 後ろから彼と同じ木箱を両腕にひと箱ずつ持っている青年が、からかい気味に
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