8 「ふりそそぐ空」
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いのだから!
「うん? おお、もうベースキャンプに着いたのか。残念、それでは仕事を始めよう」
今まで手にしていたグプタ町からベースキャンプまでの地図を丁寧に畳んでしまい、代わりにもう一枚の地図を取り出す。このゴールデンな鎧の煌びやかさといったら、まさしくボクにぴったりな出来栄えだと思うんだが、いかんせん懐に手が届きにくいのが難点だな。ん? リュックを持ってくればいいじゃないかって? 嫌だよ、そんなもの。美しさのかけらも無いじゃないか!
そんなこと言ってる間に四苦八苦しながら懐から出した凍土の地図を広げて、同じくしまってあったギルドの通達文書と見比べた。ふむ、エリア2か。思ったより近い。それから、道が塞がっているのが……なるほど、2と7に繋がる洞窟の口、ね。ここは迂回しなくてはいけないのか。まあ問題ない。このボクにはささいな障害だ! まずは真正面から見届けてやろうじゃないか!
内心でどう回るかの筋道を立てていると、風に乗って白く冷たいものがボクの頬に当たった。
「おや、天気雨か」
雨や雪はあまり好きではない。なぜならボクのこのブリリアントなゴールデンヘアーがぺそっとしてしまうからね! 君も曇った空でボクの煌めくハイライトの瞳が覗けなくなるのは残念だろう? まあ、今回はこの地には珍しく雲も見えないことだし、すぐに止むだろうから良いけれども。
「…さっさと終わらせよう。グプタのお嬢さんたちがボクの帰りを待っている。ハハハハハ、ボクの行く手を阻む竜たちよ! 遠慮はいらない、正々堂々と襲い掛かってくるがいい! ボクは全身全霊をもって、諸君を―――」
ギェー!
「―――討つ!!」
背後。的確に頭を狙われた催眠液を小盾で防ぎ、直後崖から飛び掛かってきたバギィを高笑いしたまま片手剣で刺突。細い首を貫通した刃は赤い滴で雪を染める。
「ふむ。君は首回りの青いラインの発色がとても美しいね! ああ、だが残念だ。ボクは先の君の声をよく聞いていなかったんだ。君の尊い命の叫びをあげさせる間もなく殺してしまった不備を許してくれ。おお、哀れなケイシー! 君はケイシーと名付けよう……。忘れないよ、“青い首飾り”のケイシー! まためぐる魂が、ボクたちを再びまみえさせんことを!」
名残惜しくも剣を引き抜き、軽く掃ってから鞘に戻す。そっと横たえたバギィに小さく黙祷を捧げてから、再び悠々と凍土散策を始めた。
今日はツイてる日だ。到着早々、美しい小眠狗竜から早速アプローチをされるとは。
ボクは鼻歌を歌いながらエリア2へ。ギルドによると、先日のギギネブラ大量発生事件以降、人間はおろかネコタクのアイルー達すらここには近づいていないらしいが。
そして見つ
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