8 「ふりそそぐ空」
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《自軍技工士ヘ通達。至急バッテリー変換ヲ求ム》
《自軍技工士ヘ通達。至急バッテリー変換ヲ求ム》
《自軍技工士ヘ通達。至急バッテリー変換ヲ...》
...非常用バッテリ、残量―――0.0%。
...緊急シャットダウン。
...保護プログラム作動。
《解除コード、“deus ex machina”。当機右翼部表面ニ日語オヨビ独語ニテ記載。参照サレタシ》
《繰リ返ス》
《解除コード、“deus ex machina”。当機右翼部表面ニ日語オヨビ独語ニテ記載。参照サレタシ》
...非常用バッテリ、残量―――ゼロ。
...H-151機、シャットダウン。
ヴヴヴヴ...ヴン......
暗闇は再び沈黙を守る。ソレはもう、動かない。
***
Scene5.【紅葉も落ち短い冬へ差し掛かった温泉地で、黒髪の青年は、この日】
***
ドドドドドドドド!!
激しい地鳴り。
忘れもしない。規模は小さいものの、あの時ユクモ村を襲った猪の大群がもたらした音を、今まさに俺は再び肌で感じている。
「……」
息をひそめ、気配を殺し、そっと窺い見るのは大通り。硬く踏みしめられた道に僅かに立ち籠める砂ぼこりは、そこを駆け抜けた存在がいかに力強い一蹴りを放っていたのかを雄弁に物語る。
「……ナギくん、ナギくん。もう行ったよ」
無声音で教えてくれた雑貨屋の女店主さんに礼を言い、縮こまっていた俺は立ち上がった。通りをこだまして聞こえてくるのは、3人の猪娘たちの雄叫びである。……猪娘なんて言ったら怒られるかな。
「ナぁ―――ギさぁ―――ん!!!」
「ぬゎ―――ぎぃ―――!!!」
「おにぃ―――さまぁ―――!!!」
……もはや執念だろ。この声は当然村中に響き渡っていて、皆さんがニヤニヤしながら俺の方を見てくる。本当にやめてほしい。大勢の視線を受けると湧き上がる、底知れぬ“不安”は、まだ完全には治っていない。
「あんたも災難だったねぇ。朝からあの調子なんだって?」
そうなのだ。“朝9時に広場に集合”の約束。言い訳するわけじゃないが、俺とて忘れたのではない。そう、決して、断じて、誤解されては困るんだが、忘れていたのではないのだ。まして意図的にすっぽかしたなんて、そんな訳がないじゃないか。
これは―――事故。そう、事故だ。……きっと。
『このあたしを待たせといて、1時間の遅刻……ですって……?』
ぞぞ――っ
今朝起きて、あのギギネブラ戦でもこんなに焦りはしなかったというほど取り乱した驚愕の事実。
「あっはっは! なるほど、寝坊したからあの子らあんなに走り
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