俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 後編
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更は見送られる事になり、私の緊張は一体・・・とへなへな崩れ落ちるいりこだった。
これは全く以て余談なのだが、彼女たちの上司にして向こう側の地球の最高責任者であるサクマという男は「愛・セイブ・フューチャー」と真顔で言える程度には愛の力を信じている男だったりする。つまり、愛は勝つ。向こうの地球人の認識は大体そんな感じである。
= =
いりこが3人の仲間から理解を得ていたその頃、さざめは自室で悩んでいた。
「ちょっと、失敗だったか?これじゃ向こう側が俺の幼馴染というポジションを俺の認識の中で確立させる手伝いをしてしまったかもしれん」
自室のベッドに寝転がり寝返りを打つ。
「いやしかし、おれはいりこという人格を嫌っている訳ではなくて、向こうが何かを隠している態度が気に入らないのであって、あいつ自身を拒絶するのは違うか」
更に寝返りを打つ。敷いてあった毛布がずれて床に落ちたが気にしない。
「・・・待てよ。まだ俺が正気でない可能性といりこが異質である可能性が排除しきれていない。情報収集の為にいりこに近寄るべきか?それとももう数か月ほど向こうの出方を見極めるべきか?」
思考が加速するにつれてさざめの寝返りも加速していく。その速度は既にごろごろの域を超えてローリングに届こうとしていた。
「そういえばあいつ人の事を好きとかなんとか言ってたが、この関係はどこまで続くんだ?俺が真実を解き明かしても続くのか?それとも解き明かされたら終わるのか?」
ローリングがぴたりと止まる。
「・・・・・・様子見しよう。別にあいつがどこかに行くのは怖くないが、後味の悪い別れ方ってのは嫌だからな。事情があるかもしれないし、やられっぱなしで終わられても悔しいし」
居なくなって欲しくない、とは口が裂けても言わないのに自分への言い訳は幾らでも出てくる面倒くさいタイプの男。それが冴鮫という男だった。
(はぁ、幼馴染は嘘でしたって素直に言えない私の馬鹿ぁ・・・)
(はぁ、言い訳してないと女の子一人とも向き合えない己の情けなさよ・・・)
こうして、ちょっとばかり他人より偶然の重なりやすい少年の延年冴鮫と、パラレル世界異星人魔術師エージェント田楽入子の―――世界と種族の枠を超え、そこはかとなく人類の存亡をかけたっぽい物語は、千日手という形でこれからも続く。・・・多分。
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