第五章
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から今度こそです」
「予算や時間を気にしないでかい」
「はい、完璧な作品を作ります」
しかもこんなことまで言った。
「人も使って」
「ああ、現場のスタッフも」
「当然俺も現場に行きますよ」
これがいつもだから恐ろしい。プロデューサーは作品を広範囲に統括するのだが彼は現場にいつも来ていて些細なことまでクレームをつけていたのだ。
「演出もしますし演技指導も脚本のチェックも」
「つまり何でもだね」
「しないと駄目です」
現場も他のスタッフの意見も仕事も無視して、というのである。
「やってみせますよ」
「つまり今まで通りかい」
「努力が足りなかったんです」
自分の更迭の原因はそれだと考えていた。
「ですから今度こそは」
「今度ね」
「はい、今度はです」
机から立ち上がって意気高らかに言う。
「完璧な作品を作ります」
「そうなればいいね」
ここからは彼に聞こえないようにして出した言葉だ。
「その機会があれば」
「俺はこんなところでは終わらない!」
彼の絶叫は続く。
「必ずや。もう一度!」
何とそれは適えられた。ただし別の会社でだ。しかしそこでも相変わらずであり大きな騒動を引き起こしていた。最終回になって関わった者達はそれぞれだった。まさひ悲喜こもごも、人それぞれだった。
最終回 完
2010・7・31
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