第百三話 幻術の終わりその十一
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「だからね」
「それはどの人もだったわね」
「中田さんにしても先生にしても」
「本当にどの人も」
「その強い思いがあるからこそね」
戦ってきたというのだ、誰もが。
「僕は最初は中田さんみたいに強くなかったけれど」
「中田さんは本当に強かったわね」
「その思いもね」
「思いが強ければ強い程戦って力を得たいと思うから」
「結局、戦いを終わらせたいとかいう思いはね」
上城は今極めて客観的に考えられた、その客観的な考えからあそのうえで樹里に対してこう話したのだった。
「自己満足なところがあるじゃない」
「そうなるのかしら」
「今そう思うよ、だからね」
「それでなの」
「中田さんみたいにご家族が関わってると」
「凄く必死になるから」
「その思いが凄く強いからね」
そうした剣士にはというのだ。
「負けたんだと思うよ」
「そうだったのね」
「これまではね。僕も戦いを嫌ってばかりだったら」
最初の頃の彼のその考えのままであったらというのだった。
「僕は途中で負けていたよ、誰かにね」
「そうだったのね」
「うん、絶対にね」
「だからこれまでの戦いは終わらなかったのね」
「終わらせられなかったんだろうね」
樹里に対して考えている顔で話す。
「ずっとね」
「そうだったのね」
「そうだと思うよ、けれど僕は」
上城は真剣な顔になった、その顔になって樹里に言うことは。
「もう決めているから」
「絶対に、よね」
「加藤さんに勝ってね」
そのうえでだというのだ。
「この戦いを終わらせるよ」
「死なないでね」
心から心配する顔でだ、樹里は上城に言った。
「絶対に」
「わかってるよ、僕は死なないから」
「生きて帰ってそうして」
「そうしてだね」
「お祝いしましょう」
戦いが終わったその時にというのだ。
「ご馳走とお酒用意しておくから」
「どんなご馳走かな」
「色々。私が作るから」
「そうなんだ、じゃあ戦いが終わったら」
「私のお家に来て」
そしてだというのだ。
「いつも以上のご馳走用意しておくから」
「お酒もだね」
「ええ、その時はね」
「二人でかな」
「お父さん達は戦いのことは知らないから」
樹里の弟の彼もだ、二人は上城のことは知っていても剣士としての彼のことは何一つ気付いていないし知らないのだ。
「だからね」
「二人でだね」
「お父さん達が一緒にいてもね」
「パーティーをする本当の理由は知らないんだね」
「ええ、そうなるわ」
「じゃあ表向きの理由はどうなるのかな」
「何でもいいと思うわ」
それについては、というのだ。
「別にね」
「じゃあテストの点がよかったとか」
「実際私達この前の中間テストの成績よかったでしょ」
「うん、頑
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