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久遠の神話
第百三話 幻術の終わりその八
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「これで宜しいでしょうか」
「わかった。だが」
「それでもですか」
「仏教、ヒンズーの一派だが」
 インド人の考えではこうなる、何故なら釈尊がヴィシュヌ神の生まれ変わりの一つであると考えられているからだ。
「仏教の考えでは六道がある」
「その中の一つにですね」
「地獄というものがある」
 罪を犯した者が落ちる世界だ、仏教の教えではとりわけ重要な世界である。
「地獄には落ちるがだ」
「それでもですか」
「その生だけだ」
 生まれ変わり向かう世界の一つだというのだ。
「地獄で罪を償えば次の生では別の道に行くのだ」
「六道の他の世界にですね」
「そうなる、罪は精々次の生だけだ」
 同じ魂でも、というのだ。
「そうなっているのだがな」
「だからですか」
「魂の罪は永遠ではない」
 マガバーンが今言いたいのはこのことだった。
「しかし貴女は我々を何度も。神話の頃からの転生の中でそうさせているな」
「それが間違っているというのですね」
「私の考えではな」
 そうなっているというのだ。
「認められない」
「そうですか、ですが」
「それでもか」
「私は力を集めます」
 この考えは変わらないというのだ。
「何があろうとも」
「そうなのか」
「そうです、何があろうとも」
「そうか、やはりな」
「神話の頃より決意しています」
「その言葉は聞いた」
 全てだとだ、マガバーンは瞑目する様な顔で述べた。
「しかしだ」
「それでもですか」
「貴女の過ちは終わる時が来ている」
「水の剣士によって終わるというのですね」
「そうだ、彼は勝つ」
 上城はというのだ。
「そして必ず貴女の過ちを終わらせる」
「そうなろうとも」
「貴女はあくまでか」
「あと少しなのですから」
 気が遠くなるだけの時を経て集めてきた、それだからこそ尚更というのだ。こう言ってそうしてであった。
 声の方からだ、最後にマガバーンに告げた。
「ですが貴方は」
「そうだ、私はもう剣士ではない」
「ではですね」
「私は何も出来ない」
 彼自身はというのだ。
「後は彼がしてくれる」
「信じておられますのね、水の剣士を」
「だからこそ託す」
「そうなりますね」
「ではだ」
 戦いは終わった、それならだった。
「剣士としてはな」
「これで、ですか」
「最後の挨拶とさせてもらう」
「それでは」
 こう話してだ、そのうえで。
 マガバーンは屋敷に戻った、そしてその夜はそのまま寝てだった。
 朝に起きるとだった、屋敷の食堂において。
 朝食を食べた、その前に出されたカレーを見てこう言った。
「やはりです」
「朝はですね」
「カレーがいいです」
 屋敷の者達、彼の使用人達には鋭いものを見せなかった。そう
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