第百三話 幻術の終わりその七
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マガバーンも戦いを降りた、それで言うのだった。
「貴女には私達の戦いの力は渡った」
「それは確かに貰い受けました」
声の方もこう答える。
「あと本当に少しです」
「そうだな、だが」
「戦いはですか」
「もうすぐに終わる」
間違いなくだ、そうなるというのだ。
「貴女の思い通りにはならない」
「ですが若し、です。この戦いでも力が集まらなければ」
「次か」
「また貴方達には戦ってもらいます」
十三人の剣士達の魂、彼等にというのだ。
「そうしてもらいます」
「これまで言っている通りに」
「そうです」
淀みのない口調だった、それも全く。
「そうしてもらいますので」
「そうか、輪廻転生の中で」
「そうなってもらいます」
「輪廻はある」
インド人だからであろうか、マガバーンはこの考えは抵抗なく認めていた。次の人生があるということをだ。
「しかしだ」
「しかしですか」
「私は戦いは好まない」
「今の貴方の魂はですね」
「そうだ、だから出来ればな」
次の人生では、というのだ。
「戦いたくはないが」
「ですが」
「それでもか」
「貴方達は神話の時代に罪を犯しました」
だからだというのだ。
「私が力を集めるまで」
「その時まではか」
「貴方達には戦ってもらいます」
「私の考えは言った」
戦いたくない、それはというのだ。
そのうえでだ、マガバーンは声の気配がする方に顔を向けているがそちらに対してこうも言ったのだった。
「しかし一つ聞きたいことがある」
「何でしょうか」
「私達が犯した罪のことだ」
マガバーンが今声に問うのはこのことについてだった。
「それは何だ。タルタロスに落ちる程だというが」
「それは色々です」
「十三人それぞれか」
「我が母を騙して殺した者もいれば」
その他にもだった。
「我が子の肉を神に捧げようとした者もいます」
「その他にもか」
「恩師の娘をたぶらかし死に追いやったうえにその罪を他者になすりつけた者も」
「どちらにしろ許されない罪を犯した者か」
「ただ人を殺しただけではタルタロスには落ちません」
ギリシア神話においてはそうなっている、タルタロスに落ちるということはまさに許されざる罪を犯した者だけなのだ。
そしてだ、剣士達の魂もなのだ。
「容易には」
「だからか」
「そうです、ですから」
「私達は今もか」
「その罪を背負っていてです」
戦っているというのだ。
「そうしているのです」
「貴女は我々をタルタロスに落とすよりもか」
「私が使わせてもらったのです」
彼等の魂、それをだというのだ。
「罪を犯した者ならば。戦わせてもいいと思いまして」
「だからなのか」
「貴方達は今も戦っているのです」
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