第百三十話
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第百三十話 料理の本
華奈子と美奈子は今はだった。
金曜日の塾の授業を受けようと今田先生のお屋敷に入った、そこにある教室に入ると華奈子の机の上にだった。
一冊の本が置いてあった、その本はというと。
「あれっ、これって」
「お料理の本音」
美奈子もその本を見て言う。
「そうよね」
「そうね、しかもね」
華奈子はその料理の手に取りながら美奈子に答えた。
「付箋まであるわ」
「結構読まれてる感じね」
「ちょっと読んでみていいかしら」
華奈子は美奈子に尋ねた。
「そうしても」
「そうね、自分のものにするのはよくないけれど」
それでもだとだ、美奈子も答える。
「読む位ならね」
「別にいいわよね」
「そう思うわ」
「じゃあちょっと」
ここで自然とだ、華奈子は付箋が付けられてあるページを開いた。するとそのページにあったメニューはというと。
偶然だがだ、少なくとも華奈子はそう思った。そこにはチキンカレーの細かい上手な作り方が書かれてあった。
特に鶏肉の調理の仕方があった、華奈子はそれを見て美奈子に言った。
「これどう思う?」
「いいわね」
美奈子もそれを見て言う。
「こうしたやり方があるのね」
「やってみるわよね」
「いいわね」
美奈子は華奈子のその提案に頷いた。
「これ実際にやってみましょう」34
「それじゃあね」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「運がいいわね」
華奈子は自分がそう思っていることを素直に言った。
「本当に」
「ここでチキンカレーの上手な作り方を読めて」
「しかも鶏肉のいい調理の仕方も書いてあるから」
それでというのだ。
「いいと思うわ」
「このやり方やってみるのね」
「是非ね。そうしよう」
「ええ、日曜にはね」
こう話すのだった、二人で。そしてだった。
その本のチキンカレーのことは二人共素早くノートに書いて後から来た五人にも見せた、そして本は先生に誰かの忘れものかも知れないと言って渡したのだった。
先生は静かに受け取った、だがその顔は微笑んでいた、そしてその微笑みで七人を見ているのだった。
第百三十話 完
2014・5・5
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