暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第四十九話 二人乗り
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も、器用に体勢を立て直して自転車を漕ぎ続ける。

「……ねぇ」
「ん?」
「ホントにあたしが、絶対離れていかんち思いよるん?」
「ん〜」

翼は苦笑いしながら、首を傾げてみせた。

「今の態度見たら、自信持てなくなってきたかな〜」
「そーよそーよ、ムカついたら三行半したるんやけん、もっとビビりぃよ」

今度は後頭部をチクチクをつつき始める。
翼はふふん、と鼻で笑った。

(高校で離れてから、お互いやたらと尊重しあってた所があったけど、こうやってじゃれあってってのは久しぶりだな。こういうのも悪くない。というか、俺達まだ高校生じゃないか。こうやってしょうもない事で臍を曲げ合うのが普通だよな。)

「おい、鼻で笑ってないで何か言え!」

また頭をはたいてきた葵に反撃とばかりに、翼は黙って蛇行運転を始めた。振り落とされそうになる葵は、きゃあと悲鳴を上げる。翼は声を上げて笑った。

「ざまーみろ」
「はぁ!?ガチで危なかったけんな今!もう、サイテー!」

葵は憤慨しながらも、その顔は笑っていた。
翼も笑っていた。
家に帰るまでの道のり、2人はお互いの悪口を、笑顔で言い合った。
寒い風が吹いていた。
澄んだ夜空に、星がキラキラと輝いていた。


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