新たなる力へ
Trick66_“ケリ足”ではなく“軸足”
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ある程度、速度が乗れば美琴が整えなくてもバランスが取れる。
自転車の速度があがったときにハンドルから手を放して運転しても走り続けるのと同じだ。
その後に左足に体重を乗せるのを変えて、同じく体重を乗せる。
更に更に加速は続く。
「すごい、すごいよ! 足をほとんど動かしていないのに空気の壁が当たる感じがすごい!!」
「すごいです御坂様!」
「泡浮さんの言うとおりだ! 軸足に体重を乗せると速くなった!!」
「なるほど。さしめず、重要なのは“ケリ足”ではなく“軸足”と言ったところでしょうか、
とミレイは2つの違いを明確に表現します」
ケリ足。今まで美琴たちは速く走ろうとすればするほど、“ケリ足”で地面を
思い切り蹴りだしていた。
蹴る力が強ければ強いほど大きな出力を出すA・Tのホイール。
だが、その実は出力エネルギーのほとんどは垂直に地面に消えていくだけであった。
「そっか♪ スピードを上げるには地面を蹴らない方がいい♪
地面を蹴っていない“軸足”がスピードを作り出すんだ♪」
地面を蹴らずに、“軸足”に体重を乗せる。
瞬間的な加速の“ケリ足”よりも、断続的に加速を続ける“軸足”での走行。
それが≪走る≫のコツ。
「転びそうになったっていうのは、足をほとんど動かさない事だったんだ♪
それでいて体重は軸足に乗せ続ける♪ 加速を続けるんだよ♪」
全員に分かるように説明する美雪。太極拳で体幹の重要性を知っているからこそ
“軸足”に体重が乗っているのをすぐさま見抜く事が出来た。
「それじゃ二人一組になって、互いの軸足が出来ているか見せ合って
≪走る≫のフォームを修正して行こう♪」
「「「「「はい!」」」」」
美雪の号令と共に二人一組の訓練が開始されて、著しい成果を得る事となった。
本日のA・T試験組の成果。
1位 御坂美琴
≪歩く≫は習得済み。
≪走る≫は100mを6.8秒(時速53km)で走破。
2位 西折美玲・婚后光子
≪歩く≫は習得済み。
≪走る≫は100mを6.9秒(時速52km)で走破。
4位 泡浮万彬
≪歩く≫は習得済み。
≪走る≫は100mを7.0秒(時速51km)で走破。
5位 西折美雪
≪歩く≫は習得済み。
≪走る≫は100mを7.1秒(時速51km)で走破。
6位 湾内絹保
≪歩く≫は習得済み。
≪走る≫は100mを7.3秒(時速49km)で走破。
つづく
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