幼い日の思い出
さてとそろそろ
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「記憶、大丈夫? チャクラ、うまく、コントロールできた、…と、思うんだけど」
カトナはサスケの掌に自分の掌を合わせ、全神経を集中させる。
サスケが怪訝そうに繰り返す。
「記憶…?」
「イタチ兄さん、多分、何かの術式で、サスケに、幻術をかけた。脳が特に、ひどかったから、記憶を、改造したんだと、思う。チャクラ、おかしくなってたから、間違いない、と、思う」
とぎれとぎれに紡がれた言葉に、サスケは半信半疑で自分の掌を見つめる。
真っ赤になった掌に、ふいに、自分を見つめたあの赤い瞳が思い出されて。次の瞬間、霧が払われ、全てが思い出される。
「兄さん…!!」
叫んで、泣きそうになって顔を歪めた。
馬鹿だと、あの人は馬鹿だと、行き場の無い気持ちを抑えきれず、振り上げた拳を床にたたきつけた。
サスケの突然の動作に、カトナはびくりと大げさに体を震わせた後、そっと、彼の指に自らの指をからめた。
「イタチ兄さん、里、ぬけた。罪人扱いされてる。みんな、サスケの事、被害者って言ってる」
「…俺は被害者じゃない。被害者は、兄さんの方だ」
噛みしめた歯が奥で擦れた。
父を亡くした。母を亡くした。大切な人たちをなくした。親戚も、縁戚も、知り合いという知り合いが一気に消えた。すべて失われた。なくなった。もう、戻ってこない。
その絶望が全身を焼いていく。
だが、それ以上に思うのは。
あの優しい兄が。あの、まだ年端も行かない穏やかな兄が。
どんな思いで、人を殺したのか。
激情が体の中で渦巻いて、無性に苛立って、サスケは叫びだしたくなった。
それでも懸命に言葉を呑み込んで、カトナを見つめる。唯一の理解者に、これから先、自分が頼れる唯一の人間に、サスケは問う。
「里は兄さんのこと、どう扱ってる?」
「冷酷無比、極悪、S級犯罪者、抜け忍」
「好き勝手言いやがって…」
何も知らない奴が騒いでいるだけだと分かっていても、止められない苛立ち。
胸糞悪いと、心の中で罵ったサスケの様子に気が付きながらも、カトナは尋ねた。
「さすけは、どうしたい?」
自分はそれに付き合う。
無言でそう告げるカトナに、サスケはまったく迷うことなく言い放った。
「俺は絶対に兄さんの無実を証明する」
そういったサスケの瞳は、あの時のイタチのように、赤かった。
・・・
「あかでみー、入ろうと思う」
「は」
いきなりの言葉に、サスケは小さく体を震わせると、カトナに目を向けた。
赤い髪を持つ少女は、サスケと全く視線を合わせることなく、ベットの上ですやすやと寝ている金色の髪を持つ少年を見つめる。
血色は、あまりよくない。足も
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ