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【短編集】現実だってファンタジー
俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 前編
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交じりのひき肉の味がした。これハンバーグか。美味いので咀嚼して飲みこむ。
改めて前を見れば、いつの間にか俺の机と自分の机連結システムを発動させたいりこと、彼女の用意した弁当が目に入った。

「人が崇高なる思考実験を続行中だったというに、何故邪魔するか不遜者めが」
「思考実験だか何だか知らないけど、昼休みの時間は有限なんだからご飯食べたら?お母さんの用意したのがあるでしょ?」
「おばさんといえおばさんと。別にお前の家族じゃねえだろうが」
「いぃじゃん別に。昔からお隣だったんだもん、私にとってもお母さんみたいなものだよ?お母さんが二人なんてお得感満載でしょ!」
「昔からねぇ・・・」

昔はお前いなかったろうが、と思うのだが、物証も目撃証言も向こうに分がある。裁判では敗訴確定。むしろ俺が何で覚えていないのかが不思議に思えてくるレベルで俺はこいつの事を覚えていない。当然と言うか、我が母君もこの娘の事を小さいころからよく知っている風だ。本当に幼馴染ならその程度は確かに知っているだろう。幼稚園時代の喧嘩から何から未だに話のネタにしている。

この意識のずれは何なのか―――むぐん。また開いた口に食べ物を詰め込まれた。この味は茹で人参だな。茹でる段階で何かしら味をつけてるらしく、無駄に美味い。ちくしょーニンジンの分際で生意気な。

「・・・ってこら!人の口にぽんぽん食べ物押し込むな!」
「だってまた考え事してるっぽいし。ダイエット中だし。男の子なら多少食べ過ぎても平気でしょ?はむっ・・・んん、今日の卵焼きは会心の出来栄え!流石私、将来の良妻は料理の腕が違う!!」
「自分で作った弁当なら自分で量減らせよ・・・というかお前専業主婦志願か?勉強できるんだから就職しろよ、女性の社会進出が進む」
「じゃあその間おうちはさざめ君に任せていい?さざめ君ったらお掃除は上手だもんねぇ♪」
「・・・・・・はぁぁぁぁぁぁ」

自分の料理を自画自賛(いや自作自賛?)したいりこは自分の弁当を自分で作っているらしい。そして故知時俺の口にああやって物を詰め込もうとするのだ。2つも詰め込まれたのは屈辱の極み、3度目は無いと思われたし。
おまけにこの調子で人を口説こうとして来る。いや冗談のつもりかもしれないが、訳が分からなくても可愛いと思わない訳ではないので確り気を保たないと心臓が変な音を出しそうになる。これでいりこ以外だったら内心ひゃっほうするとことだろうが、いりこ相手ではどうにも警戒心が拭えない。実は何か理由があって俺を籠絡しようとしてるんじゃないだろうな。・・・まぁこれ以上話していても疲れるだけなので、俺も自分の弁当を食べる事にした。

が、ふと思う。

「・・・ちょっと待ててめぇ。その箸、俺の口の中に突っ込んだよな?」
「うん」
「ちゃんと拭いたか
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