俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 前編
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もそれが間違っていたら?
例えばだが、実はM78星雲の近所から来た謎の知的生命体が地球人の意識支配を試みており、彼以外の全員が鳥でないものを鳥だと認識していたとすれば、異常者扱いされた彼の意見は正しいのだ。ただ、大多数が正しくないと認識していればその社会の中ではそれは間違っている。彼は鳥でないそれを鳥だと言わなければ一生精神病院から出られないなんてことになる。
つまり、ひょっとしたら俺はこの地球で最後の正気を保った者であり、彼女の事を普通の昔からいた人間であると錯誤させられた皆は既に宇宙人の支配下に落ちている、とか。
だとしたらあのいりこという女は侵略者か何かなんじゃないか?インベーダーだ。地球侵略にやってきたのだ。人類最後の抵抗者である俺を常識から非常識へと引きずりおろしてしまおうとしているに違いない。神よ助けろ、哀れな仔羊が凄まじいまでの孤立状態だぞ。ヘルプミー。
・・・流石にそれは現実離れしすぎている。ならば俺が正気でない可能性だ。
まず、俺は少なくとも俺の認識する範囲内では健常な人間としての生活を送ることが出来ている。また、頭を打って綺麗に彼女の事だけ忘れたのではないかといろいろ調べても、俺が変な薬を飲んだとか頭をけがしたとかそう言う事実は存在しなかった。そも、忘れているなら何かしら記憶の齟齬が生まれたりして自分で違和感に気付きそうなものだ。
だがここで油断してはいけない。異常者というのは自分が異常であるとは思わない。現実が異常だと思い込み、その中で自身だけが異常なのだと気付けないから苦しむのだ。だから俺には彼女に対して猛烈に嫌な思い出やコンプレックスがあってそれを忘れるために脳が自己防衛本能で彼女の記憶を封じ込め・・・無いな、ないない。あの女には不信感を越えるものを感じないし、他に俺にとって差し迫ったストレスの種は存在しなかった。
いや、それすら夢オチだったといたら。実は俺は超誇大妄想者で未だに肉体は精神病院のベッドの上に藁のように乾されており、今こうして考えている俺とその認識する世界は全部俺のスーパー妄想力によって生み出された精神世界だとしたら。・・・自分で作った世界で自分が悩むなんてどんなマゾプレイだよ。もう少しいい人生送りたいわボケ。
とまぁこんな具合に俺の疑問は降って湧いては沈んでゆく。めくるめくサザメワールドの終焉訪れず、ああ無念なり無念なり。はぁ、とため息をつく―――瞬間、俺の口に予想だにしない異物が突然突っ込まれた。
「むぐぁ!?」
「おお、漸く気付いてくれた?もう、レディが目の前にいるのに無視するなんてひどいじゃない!」
気が付けば目の前にいりこの姿。溜息を吐いた瞬間に口に何か突っ込まれたらしい。取り敢えず舌の上で転がして咀嚼してみると、トマトソースの香りと酸味、そして玉ねぎ
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