夢と幻
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ロラガーデンを支えに座り込む状態に変わったヴィーテルシアは笑みはそのままに、空いている右手に持つ長方形の紙に張ってある、丸いシールのようなモノを見せる。
「ティアお手製の“麻痺ノ印”。お前は私を追い詰める事に意識を持って行かれ、これが貼られている事に気づかなかった。あと3分は効果が持続する」
先ほどの接近を、ヴィーテルシアは無駄にしなかった。
ニヤリとした笑いをそのままに、ミストガンを見上げる。
「すまない。後は頼む」
「任せておけ。既にアイツは、私の術の中にある」
「!」
その言葉に、ルナは辺りを見回した。
気づけばルナの周りには、ミストガンが背負っていた5本の杖がルナを取り囲むようにして突き立てられている。
そして―――――1つ、また1つと魔法陣が展開し、最終的には5つの魔法陣がルナの頭上に現れた。
「な・・・何これ・・・」
「いいか?ヴィーテルシア」
「構わん。知り合いとはいえ、ティアを危機に晒すのであれば―――――敵だ」
一応念のためにミストガンが問うが、返ってきた答えは聞くまでもなかった。
そうか、と小さく呟き、ミストガンが―――――吼える。
「五重魔法陣・御神楽!」
「きゃあああああああああああっ!」
5つの魔法陣から放たれた、強力な光線。
麻痺ノ印によって動けないルナに防御の手はなく―――――叫びと共に吹き飛ばされ、そのまま気を失った。
落ちていく、落ちていく。
ゆっくりと落ちる意識は、在りし日の記憶を夢として見せる。
忘れ去りたい、でも忘れられない、永遠に残る記憶。
逃げ出そうとして、逃げられなくて、それが自分の罪であると諦めたあの日。
それが本当に夢ならばどれだけいいか、と。
―――――――眠る少女は、何度も何度も願い続けた。
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