暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
夢と幻
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が見開かれる。
その目が揺れ始め、ゆっくりと潤みだし、涙が零れた。
クス、とルナは微笑む。

「泣くほど相棒が恋しいですか?でも、ここから先へは行かせません」

ティアが恋しくない、と言ったら嘘になる。
が、ヴィーテルシアの涙の理由は別にあった。

(何も・・・何も出来ないのか、私は・・・!相棒(ティア)の危機に、動く事も出来ないのか!)

十数年前、空腹だったネコ姿のヴィーテルシアの食糧を与えてくれたのはティアだった。
ヴィーテルシアという名前を与えてくれたのもティアだったし、ギルドという居場所や家を与えてくれたのもティアだとヴィーテルシアは思っている。
いつだって、いつだってティアはヴィーテルシアに何かをくれた。
――――――なのに。

(私は、恩を仇で返す事しか出来ないのか・・・真面な礼もしていないのに!)

ぐっ、と拳を握りしめる。
足掻けるだけ足掻いてやる、とヴィーテルシアはルナを鋭く睨みつけるが、殴る力は残っていないし、魔力もとっくに底をついていた。

「ティア嬢と出会っていたのが、全ての間違いでしたね」

ティアが相棒じゃなかったら。出会う事さえなかったら。
確かに、ここに乗り込んではいないだろう。
が、ティアが起こした問題で傷ついた時や、今のような状況でも、ヴィーテルシアは思っている。

(ティアと出会わなければ、私は私じゃなかった・・・そんな暗い結末に比べれば、私の選択は明るかったハズだ)

最後まで、そう信じると決めた。
誰が何と言おうと、2つの結果の明るさにさほどの差は無かろうと、ヴィーテルシアがそうだと思えばそうなのだ。
これは、ヴィーテルシアの選択なのだから。
他の誰かにとやかく言う資格なんてない。

水星の剣(マーキュリー・ソード)

その左手に、水の剣が握られる。
切っ先は、ヴィーテルシアの首に向けられていた。
ふわり、と金髪が揺れる。

「今度こそ本当にお別れですね、リーシェ」

剣が振り上げられ、振り落される。
真っ直ぐに、何の躊躇いもなく水の剣はヴィーテルシアの首を狙い――――――








「いい夢は見られたか?」









「!」

声が、それを遮った。
反射的にルナは振り返り、ヴィーテルシアは驚いた表情でその声のする方を見つめる。

「ミストガン・・・?」

覆面に5本の杖、服の左腿辺りに描かれた『煉獄神楽』の文字。
そこにいるのは、ヴィーテルシアが見知ったミストガンその人だった。
突然現れたミストガンにヴィーテルシアは目を見開き、ルナも信じられないモノを映すように驚愕している。

「そ・・・そんな・・・貴方、何で無傷なんですか!?私の|天体の交響曲《ア
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