夢と幻
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が見開かれる。
その目が揺れ始め、ゆっくりと潤みだし、涙が零れた。
クス、とルナは微笑む。
「泣くほど相棒が恋しいですか?でも、ここから先へは行かせません」
ティアが恋しくない、と言ったら嘘になる。
が、ヴィーテルシアの涙の理由は別にあった。
(何も・・・何も出来ないのか、私は・・・!相棒の危機に、動く事も出来ないのか!)
十数年前、空腹だったネコ姿のヴィーテルシアの食糧を与えてくれたのはティアだった。
ヴィーテルシアという名前を与えてくれたのもティアだったし、ギルドという居場所や家を与えてくれたのもティアだとヴィーテルシアは思っている。
いつだって、いつだってティアはヴィーテルシアに何かをくれた。
――――――なのに。
(私は、恩を仇で返す事しか出来ないのか・・・真面な礼もしていないのに!)
ぐっ、と拳を握りしめる。
足掻けるだけ足掻いてやる、とヴィーテルシアはルナを鋭く睨みつけるが、殴る力は残っていないし、魔力もとっくに底をついていた。
「ティア嬢と出会っていたのが、全ての間違いでしたね」
ティアが相棒じゃなかったら。出会う事さえなかったら。
確かに、ここに乗り込んではいないだろう。
が、ティアが起こした問題で傷ついた時や、今のような状況でも、ヴィーテルシアは思っている。
(ティアと出会わなければ、私は私じゃなかった・・・そんな暗い結末に比べれば、私の選択は明るかったハズだ)
最後まで、そう信じると決めた。
誰が何と言おうと、2つの結果の明るさにさほどの差は無かろうと、ヴィーテルシアがそうだと思えばそうなのだ。
これは、ヴィーテルシアの選択なのだから。
他の誰かにとやかく言う資格なんてない。
「水星の剣」
その左手に、水の剣が握られる。
切っ先は、ヴィーテルシアの首に向けられていた。
ふわり、と金髪が揺れる。
「今度こそ本当にお別れですね、リーシェ」
剣が振り上げられ、振り落される。
真っ直ぐに、何の躊躇いもなく水の剣はヴィーテルシアの首を狙い――――――
「いい夢は見られたか?」
「!」
声が、それを遮った。
反射的にルナは振り返り、ヴィーテルシアは驚いた表情でその声のする方を見つめる。
「ミストガン・・・?」
覆面に5本の杖、服の左腿辺りに描かれた『煉獄神楽』の文字。
そこにいるのは、ヴィーテルシアが見知ったミストガンその人だった。
突然現れたミストガンにヴィーテルシアは目を見開き、ルナも信じられないモノを映すように驚愕している。
「そ・・・そんな・・・貴方、何で無傷なんですか!?私の|天体の交響曲《ア
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ