夢と幻
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アストロナミカル・シンフォニア》!」
目も開けていられないほどの光が、放たれた。
ぎゅっと目を瞑ったと同時に、熱や冷気、突風を肌で感じる。
そして、爆発音に似た激しい音が耳に飛び込んできた。
「っ・・・ミストガン!」
全てが治まったのは、魔法発動から30秒ほど経った時だった。
恐る恐る目を開けたヴィーテルシアは、避ける動きさえしなかったミストガンの安否を確認するべく叫ぶ。
が――――――どこをどう見渡しても、ミストガンの姿は、ない。
「・・・ミストガン?おい、どこに行った!?返事をしろッ!」
その声が震える。
杖も、覆面も、影すら残っていない。
ヴィーテルシアは最悪の考えを思い浮かべたが、すぐにそれを否定する。
否定したかった―――――でも、その可能性は完全には消えなかった。
その考えを見透かしたように、ルナが口を開き、ヴィーテルシアを追い詰める。
「消えたんじゃありませんか?貴方だって知っているでしょう?天体の交響曲の威力は」
知っている、なんてモノじゃない。
あの魔法の威力は半端じゃない、とヴィーテルシアは知っている。
何故なら――――
「だって、貴方も受けてますものね?貴方がリーシェだった、最後の日の戦いで」
そう。
ヴィーテルシアがリーシェ―――――つまり、副作用の影響がなかった頃、リーシェとして最後に戦った相手が、ルナ・コスモスだった。
天体の交響曲を受け、今のようなボロボロの姿になり、それでも魔法を振るって戦ったヴィーテルシアは―――――その戦いで、副作用を受けた。
最後の力を振り絞ってルナに勝利したヴィーテルシアが元の姿に戻ろうとした時にはもう出遅れで、願うモノ全てに変身出来るハズの偽り姿を変える者の力をフルに使っても、元の姿にだけは戻れなかった。
「確かに彼は最強候補・・・でも、何の防御もなしにあの魔法を受けて生きていられる訳がない。そうでしょう?リーシェ」
ルナの声は、至って普通だ。
が、その普通の声がヴィーテルシアをじわりじわりと追い詰めていく。
「邪魔者の排除は終わりました・・・さぁ、リーシェ。次は貴方の番です」
「来るなッ!女帝の――――――むぐっ!」
「させませんよ」
オーロラガーデンの先を紅蓮に光らせるヴィーテルシアの言葉を遮るように、ルナは右手でヴィーテルシアの口を塞ぐ。
そして、空いた左手に淡い水色の光を灯す。
「残念でしたね。貴方はもう相棒には会えない・・・でも、安心してください。貴方の愛しき相棒も、今日中にそちらに逝きますから」
「・・・!」
夕日色の目
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