夢と幻
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だからこそ、相手が“それ”を知らない事を祈っている。
「行きますよ、セスさん」
「荒らしますかデス」
きらり、とセスの瞳が輝いた。
先ほどまでとは比べ物にならない大きさの魔法陣が、天井に展開する。
「天候魔法の奥義を―――――喰らうがいいデス!」
ぶわっ!と。
空気が揺れる音がした。
窓はカタカタと震え、髪が引っ張られるように流れていく。
「くっ・・・」
「何だ、この風は!?」
ミストガンは覆面を抑え、床に突き刺した杖を支えに持ち堪える。
ヴィーテルシアは全身の力を体を支える事だけに集中させ、どうにか凌いだ。
カッ!と瞼の外で強い光が溢れたのを感じながら、ヴィーテルシアは目を開き―――――
「なっ・・・!?」
言葉を失った。
ふとミストガンを見上げれば、覆面から覗く目が微かに見開かれている気さえする。
それほど、目に映る景色は衝撃的だった。
それが“魔法”という、並外れた力の結果である事は当然知っていたが、驚きは大きかった。
「――――――――異常気象」
セスの呟きが、激しい雨と雹の音に混じって消える。
そう――――――雨と雹が降っているのだ。
太陽の光がありながら。
「異常気象・・・」
セスの言葉を繰り返してみて、納得する。
太陽の光に照らされながら雨と雹が降り、雷が至る所に落ちながら虹がかかっている。雪と霰、霙も降り始め、突風が吹き、小規模の台風を幾つも創り出す。
これは異常気象としか呼べない。
「・・・そういう事か!」
納得したと同時に、ヴィーテルシアは気づく。
すぐさま考えを巡らせて―――――1つの結論に辿り着いた。
「気づきましたか、リーシェ・・・既に出遅れなのですが」
ルナの不敵な笑み。
それが何を意味するかをヴィーテルシアは知っていた。
どうにかしなければ、と体を起こそうとして、痛みが走り、表情を歪める。
「貴方達の命は終わる。終焉の刻は来た」
小さい呟き。
ルナの両手から、光が零れる。
赤、青、緑・・・その色の数は、8。
「ミストガン!避けろォ!」
ヴィーテルシアが叫ぶ。
が、ミストガンは避けるどころか魔法を使う仕草も見せず、ただ立っている。
その様子に、ヴィーテルシアは目を見開く事しか出来なかった。
「諦めがいいのは素敵な事ですね―――――殺しやすくなる」
どこまでも平べったい声。
その声を聞いたヴィーテルシアがルナに目を向け、セスが笑い――――――
「|天体の交響曲《
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