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美しき異形達
第十話 風の令嬢その十一
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 そうして前に出てだ、次々と棒で攻撃を繰り出すと。
 怪人は防戦一方だった、まさに攻撃をかわすだけだ。動きを受けようとはしない。
 鞭も使わない、裕香はそれを見てまた薊に言った。
「鞭もね」
「ああ、蔦だからな」
 それだとだ、薊は怪人に攻撃を続けながら言う。怪人はその攻撃を巧みな身のこなしでかわしているが攻撃はしてこない。
「燃えるからな」
「それでよね」
「鞭が、か」
 薊の目がここで光った。
「こいつの只一の攻撃手段か」
「そうみたいね」
「成程ね、じゃあな」
「それじゃあよね」
「ああ、それじゃあな」
 このことからだった、あらためて。
 薊は攻撃を一旦止めた、激しい何度も繰り出している突きをそうしてからだった。跳んだ。
 その跳んだ薊にだ、隙か苦し紛れか。
 怪人は鞭を出した、しかしその二本の鞭は。
 薊は蹴り、それに炎を宿らせて右足のそれで弾き返した。跳ぶ中で繰り出したそれで怪人のその唯一の攻撃手段を焼いて無力化させた。
 だが薊はこれで終わらなかった、空中で下にいる怪人に対して燃え盛る棒を投げた、そして自身もだった。
 跳躍の頂点に達したところで身体を伸ばし棒の様になって横に回転してだった、そこから怪人に対して急降下に入り。
 右足を繰り出し蹴りに入った、左足は後ろに収め両手でバランスを取っている。
 唯一の有効な攻撃であり防御手段である二本の鞭を失った怪人にその蹴りを防ぐ手段はかわすことしかなかった。
 しかしだ、今の薊の蹴りはというと。
 怪人といえどもかわしきれるものではなかった、そうして。
 まずは燃え盛る棒に胸を貫かれた、そこに。
 右足に炎を宿らせた薊の蹴りを受けた、その蹴りで胸をさらに貫かれてだった。
 背に大きな、北斗七星のドゥーベの符号が出た、それは燃え盛る赤い炎で描かれていた。桜のそれがピンクの風であったのに対して。
 薊は怪人の後ろに残像を残しつつ膝を折って衝撃を殺しながら着地した、怪人に蹴りを放った後でそうした。
 そして立ち上がって怪人の方を見てだ、こう言ったのだった。
「これで勝ちだな」
「くっ、見事よ」
 棒と蹴りを受けた怪人は己の後ろにいる薊に振り向かず答えた。
「貴女の勝ちよ」
「そうだよな」
「ええ、これで私は消えるわ」
「色々聞きたいことがあるけれどな」
 薊は怪人に身体を向けた姿勢で言った。
「けれどあんたもな」
「知っていることはないわ」
 これが怪人の返答だった。
「あんた達が聞きたいであろうことはね」
「そうだよな、やっぱり」
「それに私はこれで終わりよ」
「今の一撃は秘奥義なんだよ」
 薊が修行している拳法の、というのだ。
「受けたらまず終わりだよ」
「そうよ、もう私はね」
 その通りだとだ、怪人も答
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