第十話 風の令嬢その十
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「あんたに勝ってな」
「でjは勝ってみせることね」
怪人はその緑の口に笑みを浮かべた、そのうえで薊に言葉を返した。
「生きたければ」
「あんたにな」
「不可能なことだけれど」
「あたしの辞書には不可能って言葉はないんだよ」
今度はこう言った薊だった。
「生憎さ」
「ナポレオンの言葉ね」
「あの人もそうだけれどあたしもそうなんだよ」
今も間合いを詰めながら言う。
「出来ないことはないんだよ」
「あくまでそう言うのね」
「そうさ、じゃあな」
ここで間合いに入った、それでだった。
棒を両手から右手一本に持ち換えた、そして。
前に思いきり突き出してだ、七節混を思いきり伸ばさせて。
その棒で怪人を突きにかかった、だが。
突き出された棒にだった、怪人は右手の二本の鞭をぶつけた。そうしてだった。
薊の棒の一撃を弾き返した、薊は弾かれた棒を右に振りつつ己の身体のところに戻した、そして伸びていた棒を元に戻してだった。
再び両手に持って構えた、そのうえで怪人をまた睨んで言った。
「まあ今のはな」
「防いで、というのね」
「当然だよな」
「試しの一撃だったのかしら」
「いや、挨拶だよ」
その一撃だたっというのだ。
「今のはさ」
「挨拶なのね」
「あたしなりのな」
「面白い挨拶ね」
「そうだろ、さてそれじゃあな」
「私も挨拶をしているし」
先程の鞭がそれだというのだ。
「はじめるわよ」
「ああ、じゃあな」
こうしてだった、お互いに間合いに入り。
薊は棒を繰り出し怪人は鞭を振るう。その鞭がだった。
まさに生きものの如く薊に襲い掛かる、薊は持っている棒でそれを防ぐ。
その防ぐ中でだ、裕香は闘いを見つつ薊に言った。
「ねえ、薊ちゃん」
「ああ、どうした?」
「薊ちゃんの力だけれど」
「火か」
「うん、それ使う?」
「ああ、今あたしも思ったところだよ」
薊も頭の回転は早い、それで丁度彼女自身もだったのだ。
「植物だからな」
「ええ、火を使ったらね」
「植物は火に弱いからな」
このことをここで話した二人だった、薊はその間も闘っている。
「ここで使えば」
「薊ちゃんに有利よ」
「そうだよな、それじゃあな」
裕香と話してだ、そうしてからだった。
薊は一旦後ろにステップして怪人との間合いを取った、そうしてから。
棒を両手で己の前で水車の様に回す、そうして棒にだった。
赤い炎をまとわせた、炎は瞬く間に棒全体を覆う。怪人はその炎を見てだった。
怯みを見せた、微かにではあるがその目にだ。薊もそれを見て言った。
「やっぱりな」
「火とはね」
「あんた火が苦手だな」
怪人を燃え盛る棒の向こう側から見ての言葉だ。
「植物だから」
「
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