『雷鎚を持つ巨人』編
第八十四話
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
文化祭二日目。
劇が終わり、副会長からも早くここから離れたほうがいいといわれて、権能で服装を変幻してから出たのはいいんだけど・・・
「はぁ・・・たぶん、照明落としてたから大丈夫だよな・・・」
俺は頭を抱えながら、そうつぶやいた。
今回やったロミオとジュリエット。
これはシェイクスピアの脚本そのままではなく、演劇部によるアレンジが加わっている。
二人とジュリエットの政略結婚の相手の死、そこから両家の友好な関係が築かれていくのではなく、ロミオとジュリエットの二人が結ばれる形でのハッピーエンドなのだ。
それ故か、最後のシーンには照明を落としてのキスシーンが入るのだが・・・一日目、書記さんがジュリエット役をやった際は、照明が落ちていればそう見える、という程度にとどまった。
だが、二日目の今日。会長のジュリエットは・・・本当に、キスをしてきたのだ。
その結果、なぜか書記さんは怒りだして、会長はごまかし始める。
俺がなんとかしたほうがよいのではないかと思ったが・・・副会長によって追い出された。
なんにしても、もしはっきりと見られていたとしたら会長のファンから殺されかねないし、ご両親も来てるはずなんだよな・・・
「ってか、何で書記さんはあんなに怒ってたんだろう・・・」
知に富む偉大なる者で調べれば早いんだけど、でも・・・
なんとなく、やっちゃいけない気がする。
とりあえず、どれもこれも考えても無駄だと判断して、芝右衛門狸の権能がちゃんと機能しているかを確認してから、再び歩き出す。
今日の予定では、これ以降は仕事はない。
キャンプファイアーは文化祭の実行委員に任せてあるし、基本的には生徒会はお客さんから質問があるまでは自由なのだ。
だから、二日目は毎年家族で文化祭を見て回ることになっている。
さっき、メールで林姉と狐鳥も来たとあったので、もうみんな集合場所に集まっているかもしれない。
と、そんなことを考えながら歩いていたら、前方に人だかりができていた。
なんだろう・・・確か、あのあたりに集合、となってたんだけど・・・あ、そういうことか。
「そりゃ、あのメンバーで集まってたら人だかりも出来るよな」
普段から家族で集まっているのを見ている学校の人間はともかく、一般の人たちからしたら珍しいものだろうし。
ただ、それにしても人が多いような・・・
「なあ武双。これ、何の人だかりなのかわかるか?」
「ん・・・?ああ、護堂か。また何人も彼女を引き連れやがって・・・学外のお客さんもいるんだから、ほどほどにしとけよ?」
「だから、俺たちはそんなんじゃ・・・」
と、いつものように否定しようとした護堂なのだが・・・今回は、そ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ